UNMANNED無人駅の芸術祭/大井川2024が開幕

静岡県大井川流域の集落がアートフィールドに。アートで発見する新たな地域の姿。7回展となる今回は19作家30作品が地域に登場。無人と呼ばれる場所に生きる人々、息づく風土を表現。3月17日(日)まで開催。

Artwork:TAKAGIKAORU「抜里の茶畑に色を咲かせる」Photo:良知慎也 Model:山田昇

NPO法人クロスメディアしまだは、静岡県島田市及び川根本町の大井川流域を現代アートの舞台とした芸術祭「UNMANNED無人駅の芸術祭/大井川2024」を2024年2月10日(土)に開幕させた。会期は3月17日(日)までの37日間となり、鑑賞は無料。

当芸術祭は、2018年から毎年開催を重ね今回は7回展となる。今年度は「東アジア文化都市2023静岡県」を契機とした韓国アーティストの参加や、「茶畑」「防霜ファン」「大井川」などの固有資源を題材とした作品、市内小学校が多数制作に参加した作品など、国内外で活躍する19組のアーティストによる計30作品が登場。地域性の高さや地域づくりの手法から注目を集め、美術手帖オンライン「今年注目の国際芸術祭」に3年連続で選出されている。会期中はパフォーマンスや公式ガイドツアーなど各種イベントが開催される。

当芸術祭は、人口減少による地方の「無人化」、効率化や情報化による都市の「無人化」、と相反する局面で同時に進む「無人」を現代社会の象徴と捉え、静岡県島田市と川根本町という2つの市町の無人駅集落を中心に開催を重ねる芸術祭。無人と呼ばれる場に増えていく人の手の入らない空間と、無人と呼ばれる場で豊かに生きる人々の光。この2つを、現代アートを通じ可視化し、地域の再発見に導く取組である。

東弘一郎『茶畑のサイクリスト』(抜里地区)

東弘一郎『茶畑のサイクリスト』は、抜里エリアの広大な茶畑を見渡すことのできる場所に、茶業には欠かせない防霜ファンをあらわした作品。作品には乗ることができ、プロペラを回すことで、防霜ファンと同じ視線で美しい茶畑を体感することができる。

小山真徳『てのひら』(抜里地区)

小山信徳『てのひら』は、7メートルの高さの巨大な手が茶畑に立つ作品。竹を素材に作家が2か月の滞在制作により完成させた。地域での温かな交流と関係性をあらわした。

LEElsoo『Flying Ddobok』(抜里地区)

韓国より約1ヶ月間滞在制作を行ったLEElsoo『Flying Ddobok』は大井川鉄道の無人駅である抜里駅舎に設置。作家が失った愛犬をモチーフに、喪失と愛情のモチーフとして、出会いと別れを繰り返す駅舎に象徴的に設置。加えて地域の小中学校にて約200名の子供たちと共にパネルに絵を描いた「10×10project」も同時展示。

TAKAGIKAORU『内なる器は際限なくそだっていくはずだ』(抜里地区)

TAKAGIKAORU『内なる器は際限なくそだっていくはずだ』は、集落内の空き家に残る生活の面影などを水引で表現している。加えて同作家は、芸術祭が進める「半農半アートプロジェクト」の関わりも持ち、収穫をやめた茶畑を住民やサポーターと共に刈り取りを行い、紅茶や烏龍茶の商品開発を行った。地域との交流と中で、茶業の新たな可能性を模索している。

森繁哉 ※作品イメージ

民俗学者であり舞踏作家である森繁哉は抜里集落との複数年にわたる交流の中から、集落と竹藪の関係性を紐解きながらダンス公演『抜里版竹取物語』を2月24日に公演を行う。また、2月25日には民俗学者・赤坂憲雄をゲスト講師に迎え「大井川常民大学」開校記念公演を行う。民俗学の視点から芸術を地域を考え、学びと活動の実践の場づくりを作っていく。

アート作品は空き家や茶工場などの施設をはじめ、茶畑や山林などに設置されている。作品とともに大井川とともに息づく生活の営みを感じることができる。

[開催概要]

・タイトル:UNMANNED無人駅の芸術祭/大井川2024

・会  期:2024年2月10日(土)~3月17日(日)37日間 

・鑑賞時間:10:00~16:00・鑑賞料:無料

・会  場: 大井川流域各所(島田市・川根本町)

・インフォメーション:「ヌクリハウス」(島田市川根町抜里930)

・公式URL:https://unmanned.jp

・参加作家: 東弘一郎、LEE LSO、Instant coffee、上野雄次、内田慎之介、かずさ、形狩りの衆、木村健世、小山真徳、佐藤悠、さとうりさ、獅子の歯ブラシ×女子美術大学、泰然+きみきみよ、TAKAGIKAORU、中村岳、ヒデミニシダ、前田直紀、森繁哉、力五山

主催:NPO法人クロスメディアしまだ(島田市日之出町4-1-1F「C-BASE」内)

支援:アーツカウンシルしずおか 

助成:(公財)福武財団、(公財)朝日新聞文化財団、島田市

[会期中のイベント(一部)]

 ・2月24日(土):森繁哉による「抜里版・竹取物語」…舞踏演舞の公演

  ・2月25日(日):赤坂憲雄による「大井川常民大学」…公演及び講座

  ・3月2日(土):「生土を纏う二人」…前田直紀×上野雄次ライブパフォーマンス

 ・2月11日~3月:芸術祭公式アート周遊バス…島田駅発着でめぐる芸術祭専用車の運行

 ・2月11日~3月:芸術祭公式ガイドツアー…メイン拠点である抜里地区を徒歩にてガイド

[その他]

・会期中:芸術祭オリジナルスタンプラリー…作品をめぐってオリジナルスタンプ集め

・会期中:食拠点の整備「SIDE KUME」「ちゃばらテラス」…オリジナル弁当やお茶の提供など

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