山村集落と里山の風情を楽しむ
新潟県と長野県の県境に位置しマタギの文化が残る秘境、秋山郷。今回、小説「雪国」の舞台を巡りつつ、山奥にある秘境地を訪ねてみた。

県境の長いトンネルを抜けると、…新潟県に入った。
今回のツーリングの目的地は秋山郷。新潟県と長野県の県境にある山村の秘境地である。都内からだと関越道の塩沢石打ICで下りるとアクセスが良いが、今回はその前の湯沢ICで降りて湯沢温泉に立ち寄り、そして国道353号線、国道117号線と走り、秋山郷を縦断する国道405号線に入った。

しばらくすると「秋山郷」の看板があり、「なんだ、すぐじゃないか」と思うのは早計で、ここから秋山郷の最奥部の切明温泉まで25㎞、約1時間の道のりとなる。しかも、辛いピストン往復路である。
まず、見玉公園に立ち寄った。中津川を挟んだ対岸にある石落としと呼ばれる柱状節理の絶壁の絶景を望むことができる公園で、未舗装の駐車場から歩いてすぐだが、入り口に『この森にはツキノワグマが住んでいます』の看板が…。さすがはマタギ(独自の文化を持った猟師)の文化が残っている地域だ。そのためあまりまで行かず、早々に退散した。


また、近くの見玉不動尊はとても雰囲気のある場所なので、立ち寄りお勧めだ。

秋山郷は中津川の上流域の新潟県と長野県の県境地に点在する現十三集落の総称で、江戸時代に文人の鈴木牧之が秋山郷を訪ねて綴った「秋山記行」が諸般の事情で昭和37年に刊行されて秋山郷の名が知られることになった。下栗の里や祖谷の落合集落と違って秋山郷を代表する集落景観がないため、「秘境」感は薄いが、平家の落人伝説が残る山村集落の雰囲気や里山の風情を楽しめる場所である。

さて、ところどころに離合困難な狭路部がある国道405を走り、見倉橋に向かう。駐車場から少し森の中を歩くため、先程のクマ看板が脳裏に浮かび、腰につけた熊避け鈴をカラカラ鳴らしながら小走りに歩く。

やがて、新潟の橋50選に選ばれている吊り橋の見倉橋に到着。橋は結構揺れるが、橋下のエメラルドグリーンの中津川渓谷がとても綺麗に見えるので意を決して渡ることをお勧めしたい。

国道405号線の紅葉ポイントである前倉橋を渡り、茅葺き屋根の福原総本家旧宅、そして秋山郷の民族資料館が設けられている秋山郷総合センターに立ち寄った後、小赤坂集落から東に向かい大ゼンノ滝に。

落差15mほどの滝ながら、道沿いにあり、すぐに滝壺まで行けるのがいい滝だ。

再び国道405号線に戻って3㎞ほど南下し、天池に向かう道を左折。1・5㎞ほど走ると天池に到着する。好天時には水面に標高2037mの鳥甲山の荒々しい景観が映る絶景を見れる秋山郷を代表する景勝地のひとつだ。

天池から戻り、鳥甲山の景観を望みながら再び国道405号線を南下。やがて酷道になり、秋山郷の最奥部の切明温泉に到着。切明温泉の雄川閣では日帰り入浴(内湯 700円)ができるほか、スコップ(300円)を借りて自分で河原に露天風呂を作って浸かることができる(水着着用可)。

さて、切明温泉からの帰路は国道側ではなく和山集落の方から戻ったが、国道側に比べて道が良いのと鳥甲山の景観が望めるので、行き帰り共にこちらの道を通るのがお勧めだ。その後、大赤沢集落の山源木工二階の食事処で地元の山菜を使った天ざる蕎麦を食し、そのまま裏手にある蛇淵の滝を見に行った。

蛇淵の滝は落差30mの二段瀑で展望台からは遠望になるが、新緑の中を落水する綺麗な滝景を見ることが出来る。紅葉時はより綺麗だろう。

そして、アケヤマ (秋山郷立大赤沢小学校)の先にある分帰路を右に曲がり、見倉集落経由で再び国道405号線に戻った。秋山郷はピストン路…と書いたが、この走りやすい脇道を走ると純然たるピストン往復にならず帰路のモチベーションも保ちやすい。

そのまま国道405号線を北上して、再び国道117号線経由で国道353号線に入り、清津峡に立ち寄った。

日本三大渓谷の清津峡は観光用の清津峡渓谷トンネルが出来てから多くの観光客が訪れる人気の観光地となった場所で、特に芸術祭が行われる越後妻有(十日町市や津南町)にあることからトンネル自体もアートになっている。トンネル内の各見晴所で清津峡の迫力ある柱状節理の岸壁を見つつ、最奥部には水鏡があり、まさに清津峡の絶景と共に自身をアートにした写真が撮れる。なお越後妻有地区では大地の芸術祭が行われており、同地区の各所にアート作品が点在しているので、バイクで巡って芸術を感じて見るのも楽しい。
スズキ Vストローム800

低振動の775㎠パラレルツインエンジンと振動を抑制するスズキクロスバランサーにより振動が軽減され、長距離を走っても疲労度は少ない。それでいながら実用回転域の中低速がトルクフルなので、高速はもとより山岳路も走りやすい。また、ハンドルが軽くて取り回しがしやすので酷道でも安心に走れる。最新のスズキインテリジェントライドシステムを搭載し、ライダーをアシスト。USBソケットやヘルメットロック、リアキャリアなどの実用アイテムも装備。乗るほどにその良さわかる名アドベンチャーバイクだ。
●全長/全幅/全高(㎜):2,255/905/1,355 シート高:825㎜ 車重:223㎏ ●水冷4サイクル2気筒DOHC4バルブ 775㎤ 最高出力:60kW(82PS)/8,500rpm タンク容量:20ℓ ●カラー:パールビガーブルー、マットスティールグリーンメタリック、グラススパークルブラック ■価格:1,232,000円 ※今回の平均燃費:18.3㎞/ℓ
コメント