KAWASAKI ELIMINATOR vs Honda Rebel250

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実は似て非なるもの

過日、ワールドプレミアムで発表されましたカワサキのELIMINATOR(エリミネーター)。普通自動二輪免許(~400cc)で乗れるアメリカンタイプのバイクとして圧倒的な販売台数を誇りますホンダのRebel250に対峙するであろうことは予測できます。そこで、まだエリミネーターが乗れてない中でのあくまで想像の範囲にはなりますが、各スペックを鑑みながら、カワサキのエリミネーターvsホンダのReble250を対決させてみたいと思います。

発売後、普通自動二輪免許で乗れるバイクとして、他の追随を許さないほどに圧倒的な販売台数を誇りますReble250。排ガス規制等でヤマハのDSシリーズなど他社アメリカンタイプのバイクの発売が終了して行く中で、2017年に国内で発売。以降、250cc以上のバイクでは唯一ともいえます毎年1万台以上の台数を毎年販売しているロングセラーモデルとなっています。

もちろん、コロナ渦ながら国内の熊本製作所での生産により、他車より比較的潤沢に車両が供給できたということも多いですが、特に、免許を取られたビギナー層や若年層、そして女性ライダーに人気を得られたのがSNSなどを見ますとよく分かります。

まず、一番重要なことですが、デザインが格好良いこと。そして、価格が(発売時)49.8万円という比較的手が届きやすい値段ながらチープさがまったくないこと。そして、シート高が690mmと低くて足付き性がいいこと。やはり、バイクに初めて乗られる方は、足が付かない、もしくはつま先立ちになったりするのは、恐怖以外の何物でもなく、立ちごけの大きな要因のひとつでしたが、このアメリカンスタイルであれば足付き性がとても良くて安心ながら、ポジションはどっしりとシートに深く座るアメリカンスタイルというよりは自然にハンドルを握れるネイキッドポジションで、ハンドル操作がしやすいのも大きいメリットです。

その中で、Reble250とELIMINATORの諸元(スペック)を比較してみました。

KAWASAKI ELIMINATORHonda Reble250
エンジン種類水冷4ストロークDOHC 4バルブ並列2気筒水冷4ストロークDOHC4バルブ単気筒
総排気量(cm3398249
全長(mm)2,2502,205
全幅(mm)785820
全高(mm)1,1001,090
軸距(mm)1,5201,490
最低地上高(mm)150134
シート高(mm)735690
車両重量(kg)176171
定地燃費値*2
(km/h)
31.6km/L(60)47.0 km/L (60)
最小回転半径(m)3.02.8
圧縮比11.510.7
最高出力(kW[PS]/rpm)35(48)/10,00019[26]/9,500
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm)37(3.8)/8,00022[2.2]/6,500
燃料タンク容量(L)1211
ギア数6速6速
タイヤ(前)130/70-18M/C 63H130/90-16M/C 67H
タイヤ(後)150/80-16M/C 71H150/80-16M/C 71H
ブレーキ(前)シングルディスク 310mm(外径)油圧式ディスク(ABS)
ブレーキ(後)シングルディスク 240mm(外径)油圧式ディスク(ABS)
価格(税込)※スタンダード759,000円610,500円

まず、何といいましても排気量が、Reble250は249 cm3 で、ELIMINATORが398 cm3 と違います。これにより、 Reble250は車検がありませんが、 ELIMINATORは2年に1度(初回は3年に1度)車検を受けなければなりません。これが大きな違いです。車検費用は重量税や自賠責代を除きますと、おおよそディーラーでお願いして(大きな部品交換などがなければ)4~5万円ほどになります。 重量税や自賠責代 を含むとおおよそ5.5~6.5万円/2年(初回は3年)になります。軽二輪のReble250は自賠責と軽自動車税で2年間で約1.7万円(自賠責+軽自動車税×2年)ですので、その差は2年で3.8~4.8万円違います。月々ですと約1.6千円~2千円の違いなのですが、2年に一度、ドンと5.5~6.5万円の出費があると辛いです。特に車も持っていますと同じ年にダブル車検になったりして痛いです。この点はやはり軽二輪で車検のないReble250は長く乗ってもお財布に優しいです

Rebel 250 S Edition

但し、その分、ELIMINATORは 398 cm3 と249 cm3 のReble250に比べて約1.6倍も大きい排気量のエンジンを搭載していて出力(パワー)も約1.85倍、22馬力もELIMINATORの方が大きいです。

26PSあるReble250は普通に高速道路を走るには遜色のない走りができるのですが、やはり追い越しをしようとしたり、新東名高速のように速度域の高い高速道では辛く感じるのが正直なところ。その点、48PSもあるELIMINATORは、国内の道を走る上ではストレスを感じることはないでしょうし、特に長距離走行では正直、Reble250だとどうしてもパワーに余裕が少ないこともあり200kmくらいのツーリングぐらいまでが距離的にちょうどいいかな…と思いましたが、ELIMINATORであれば、ある程度余裕のあるスロットルワークができるので疲労度も少なく、高速を使っての300km以上のツーリングでも楽しめそうです。

ELIMINATOR SE

そして、Reble250のエンジンが単気筒に対して、ELIMINATORは並列2気筒ということで、Reble250のエンジン音もいい意味で単気筒らしくなくて雰囲気がよくて心地よいエンジン音を奏でますが、ELIMINATORは鼓動や振動が楽しみやすいパラレルツイン(並列二気筒)エンジンということで、その鼓動やエンジン音も楽しみです。

さて、シート高ですが、Reble250が690mmに対して ELIMINATOR が735mmということで45mmもの差がありますが、単気筒のReble250に対して並列2気筒のエンジンを積んでいてどうしてもその分、車幅やシート高を大きくなりがちになるのですが、250 cm3 単気筒エンジンのReble250に対して+45mmに留めたのはかなりシート高を意識してカワサキの設計陣がかなり頑張ったのではないかと思います。

シートも肉厚で疲労度は少なそうです。ただ、シートの前端はReble250の方が細身に感じられますので、総体的にReble250に対してELIMINATORの足付き性は少し厳しそうです(※ELIMINATORには-20mmのローダウンシートのオプションあり:49,390円)。

とはいえ、シート高が735mmというのはかなり低い部類にはなります、体重をかけた後にどれだけサスペンションが沈み込むかは分からないので、これは実際に跨って体感された方が良いかと思います。あと、スタイリング的な部分も違っていて、ネイキッドポジションながらステップが若干フロントフォワード(前に出ている)でハンドルもあまり引かれてないので若干前屈みのくの字っぽい感じで乗るアメリカンのボバータイプのような感じのポジションのReble250に対して、タンクからシートにかけてReble250ほど角度が無いELIMINATORは、ステップもミドルフォワード(シートの真下辺りにある)でハンドルも手前に引かれているので、ネイキッドバイクのポジションに近いかと思われます。

スタイリングもクルーザー系のReble250に対して、ヘッドランプからテールランプまで直線的でロー&ロングなELIMINATORはどちらかというとドラッグレース系のバイクのように感じられます。装着されているタイヤのサイズも異なっていて、Reble250が前後とも16インチという小径のタイヤを装着していますが、ELIMINATORはリアは16インチでReble250と同じですが、フロントは18インチで扁平率も異なります。

メーターに関しては、両車ともデジタルの一眼メーターで色の違いこそあれ、そんなには変わらない感じです。但し、ELIMINATORの方は独自のスマートフォンアプリに対応していて、車両から離れていても燃料計や走行距離が確認できるほか、走行したルート情報を取得したり、スマートフォンへの着信を表示したりできるようです。

そして、ELIMINATORの方はETC2.0が標準装備されていて、またSE仕様にはドラレコやUSB-C電源ソケットが付いています。

ELIMINATOR SE(USB-C電源ソケット)

こう見ますと、エンジンの種類、排気量、スタイリングも異なり、似て非なるバイクであることが分かります。とはいえ、やはり後発のELIMINATORは国内で売れ続けているReble250を意識して作られたのは当然のことかと思います。

ZX-25RやZX-4、Z900RSなど、あえて他車とはぶつかる内容ではなく、独自の強みやアイデンティティを貫くカワサキらしく、Reble250の250ccクルーザーというカテゴリーではなく、400ccという土俵で、既に他社からはラインナップが消えているクルーザーを登場させました。これで海外で発売されたZX-4RRが国内で発売されれば、KAWASAKIはNinja400やZ400のほか400ccクラスでのモデルもかなり充実することになります。

免許制度から国内専用の排気量とも言われ、排ガス規制とともにグローバル展開がしにくい400ccクラスのバイクが姿を消していく中で、他社とは異なり400ccクラスのモデルを拡充していくKAWASAKIの戦略も独特ですが、結果的には400ccクラスではNinja400はロングセラーを続けていますし、400ccまで乗れる普通自動二輪免許所持者に向けての250ccからのステップアップや所有感のアップ、または80~90年代の(当時の)中型二輪免許所持者のリターンの取り込みなども考えてるのかもしれません。

とはいえ、いままでバイクを選ぶ一つの大きな要因だった「足付き性」が、デザイン優先やカウル付きスポーツバイクの流れで優先順位が後になっていたのを、ある意味「足付き性」を一番にもってきて(もちろんデザインや価格などその他の要因も大きいですが)他車を圧倒する販売台数を得たReble250。ELIMINATORもその重要なコンセプトのひとつに「足付き性」があったのは間違いありません。

ELIMInATOR

なので、試乗(跨ってみて)してみて両車の足付き性を確認しつつ、あとは各々違うデザインや排気量(に付随する維持費)を鑑みて、車種を選べる選択肢が増えたということになったのかなと思います。

その中で、両者の対比する部分での優位的としましては、

Reble250の優位性(ELIMINATORに対して)

  • 価格が安い(スタンダードタイプで約15万円も安い)
  • 維持費が安い(2年間で4~5万円安い。)また燃費も良い
  • 足付き性が良い(ELIMINATORに対してシート高がー45mm)

ElLIMINATORに優位性(Reble250に対して)

  • パワーがあるので(対Reble250で+22PS)最高速や加速力が高く、長距離移動も余裕をもって走れる。
  • スタンダードタイプでもETC2.0を標準装備。
  • 独自のスマートフォンアプリを搭載し、いろいろな情報をログれる。

こう見ますと、

  • 価格的に求めやすく維持しやすいREBLE250
  • パワーがあり、いろいろな装備付きで長距離ツーリングも楽しめるELIMINATOR

という感じでしょうか。

vsとして対決してみましたが、「足付き性」以外は、意外と似て非なる両車でした。是非、試乗してみたので、ELIMINATORの国内販売がとても待ち遠しいです。

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