◾️2024年式 スズキ Vストローム800に乗ってみました。

目次

名アドベンチャーバイクの予感

フロント21インチ&スポークホイールでオフロード寄りのVストローム800DEに対して、フロント19インチ&キャストホイールを採用したオンロードツアラーモデルとなっているVストローム800。

実は、乗る前は個人的にあまり期待感が薄いモデルでした。先に発売されたVストローム800DEは、往年のスズキのオフロードバイクであるDR-BIGのデザインをリスペクトし、DUAL-EXPLORERの意味であるDEを冠しイメージカラーがスズキの黄色ということもあり、250ccのSXとともにオフロード走行を強化したと思える新型Vストロームのイメージリーダー的な感じがありました。

そして、その後に発売されたVストローム800はオンロード寄りながら、その影は薄めで、特にスズキにはVストローム650というコスパに優れる神アドベンチャーバイクがある中で、Vスト800が発売された以降も引き続きは販売されているVストローム650(ABS)に対し27万5千円も高いVストローム800は、そのポジショニングの位置付けが難しいのは致し方ないかとも思いました。

エンジンはVストローム800DEやGSX-8S/8Rと同型のFRA1で、水冷4サイクル2気筒 DOHC4バルブ 775cm3で、Vストローム800DEと同じ60kW(82PS)/ 8,500rpmの最高出力を発生。ちなみに、水冷4サイクル90°Vツイン DOHC4バルブ 645cm3のVストローム650 ABSの最高出力は51kW(69PS) / 8,800rpmで、その差は9kW(13PS)になります。

低振動の775 cm3 パラレルツインエンジンと振動を抑制するスズキクロスバランサーにより振動が軽減。シフトダウンジ時に後輪のホッピングを低減するスリッパー機能を持つスズキクラッチアシストシステムが装備され、楽にクラッチ操作ができます。

デザイン的にはアドベンチャーバイクの雰囲気を醸し出してくれますクチバシを持ち、昨今のGSXシリーズの特徴であります縦型二眼で、全体的には角ばったデザインになっています。

ディスプレイは5インチカラーTFT液晶で、速度や回転数、燃料計や時計などの表示のほか、トラコンやSDMSのセッティングの表示が表されています。個人的には各情報が一目でわかりやすい配置になっていて好印象でした。

逆にウィンドウスクリーンはコンパクトなVストローム800DEのそショートスクリーンと違って大型で、まるで防弾ガラスのように真っ平でデザイン性が薄くて、いまいちネガティブな印象でした。工具を使うことで高さを3段階に調整が可能です。

その他、装備としてはリアキャリアやUSBソケット、そして待望のヘルメットホルダーがハンドルに取り付けられました。特にヘルメットホルダーが付いて、バイクから離れる際がとても楽になりました。

ヘルメットホルダー

ちなみに、シート高は825mmで、足つきが厳しいなと感じたVストローム800DEのシート高は855mm、シート幅と厚みがあり意外と足つきがきつかったVストローム650のシート高は835mmなので、それらの中では一番足つきは良いと思います。

そして、昨今、スズキの大型バイクには標準装備になりつつあります「Suzuki Intelligent Ride System (S.I.R.S.)」を装備。内容的には3つのリディングモードを選べるスズキドライブモードセレクター(SDMS)や、トラクションコントロール、電子制御スロットルシステム、双方向クイックシフトシステムスズキイージースタートシステムなどが付いています。

スズキならではの発進時や低速時にエンジン回転の落ち込みを緩和すローRPMアシストは、停発進やUターンが多いツーリング時にはとても有益です。

タイヤは、Vストローム800用に内部構造を専用に設計したD614を装着。溝の切れ込みも深く雨天時も安心して走れそうです。

さて、跨ってみますと、825mmのシート高ながら、シート前端が絞られていることとサスが沈むので、数値より足つきはいい感じです。

ハンドルは少しだけ垂れ角が付いたバーハンドルで、自然体のポジションで乗ることができます。ただし、残念ながらナックルガードは標準で付いていません。また、ハンドルからスクリーンまでは少し離れていて視覚的に長さを感じてしまうので、もう少しコンパクトに詰められていればな、と思いました。

さて、実際にクラッチミートをしますと、ローRPMアシストのおかげで回転数が落ちることなくエンストの心配もなく安心して発進できます。排気音はトトトトと静かで、若干、メカノイズ音がありますが、アクセルを回すとダダダダッとツインらしい音を奏でます。最大トルクを6,800rpmで発生させるということで、特に中速トルクが太く、4千回転〜6千回転という常用回転域ではとてもスムーズに力強く走ることができます。

逆に、メーターは12,000回転まで刻んでありますが、そこまで高回転を伸びず最高出力を発生させる8,500rpmくらいがMAXという感じです。凄いのは、2軸1次バランサー「スズキクロスバランサー」を採用したことでとても振動が少ないということ。クラッチ操作をアシストしてくれるスズキクラッチアシストシステムと相まって、長距離で高速を走っても疲労度はかなり少なかったです。振動が少ないので、普通に流している感じでもスピードメーターを見たら結構なスピードが出ていてビックリしました。また、ハンドルも軽くて、切り返しやUターンもしやすいです。

そして、驚いたのが第一印象がいまいちだった真っ平なウィンドスクリーンですが、その防風性の高さに驚き。道中で突然の雨に振られたのですが、下半身の膝上はほとんど濡れずに走れました。ただ、市街地走行などを走り時など、手動で高さが調整できれば良かったな、とは思いました。

あと、ネガティブに感じたところは、燃料計の表示をもう少し細かく残量表示にして欲しいことと、ハイオク使用ながら燃費が実走で20km/hを切ってしまうことでしょうか(WMTCモード値:22.6km/L(クラス3、サブクラス3-2) 1名乗車時)。

それでも長距離を走っても疲労度は少なくて、それでいて、実用回転域の中低速がトルクフルで、高速はもとより山岳路も走りやすい。しかもハンドルが軽くて取り回しがしやすいので、酷道走行時も安心。電子システムも最新のスズキインテリジェントライドシステムを搭載しライディングをアシスト。USBソケット、ヘルメットロック、リアキャリアなども装備。

Vストローム800DEや650の陰に隠れがちで、パッと見、無骨で推しの強い個性は少なく感じるVストローム800ですが、乗れば乗るほどにその魅力が分かり、ますます乗ってどこかに旅に出たくなるバイクです。とにかく、疲れないし、高速を走って山岳路や一般路を走るという日本のツーリングシーンにマッチングしているサイズ感で、まさにVストローム650に続き、新たな名アドベンチャーバイクだ、と強く感じました。


全長/全幅/全高(mm):2,255/905/1,355 シート高:825mm 車重:223kg 水冷4サイクル2気筒DOHC4バルブ 775cm3 最高出力:60kW(82PS) / 8,500rpm タンク容量:20L カラー:パールビガーブルー、マットスティールグリーンメタリック、グラススパークルブラック 価格:1,232,000円 ※今回の平均燃費:18.3km/L

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