奥武蔵の絶景と異形の山
都心から約1時間。埼玉県毛呂山市から秩父を結ぶ風情のある「奥武蔵グリーンライン」という舗装林道があります。源義経の逸話も残る歴史あるこの道を、のんびりと走りながら辿ってみました。
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埼玉県毛呂山町から秩父市の定峰の尾根伝いを走る、奥武蔵林道等の総称の奥武蔵グリーンライン。林道ということもあり道が狭く、路面状態も今ひとつでブラインドコーナーが多く、カーブではカーブミラーを見て走らなければならないことが多くて、重量車やスポーツバイクで走るとストレスが特に溜まりやすいのが難点のコースですが、都心から僅か1時間で来れて、コース沿いに風光明媚な場所が点在していて、飯能から秩父に行く際には、交通量の多い国道299号線とは別にツーリングが楽しめるルートです。
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今回、毛呂山町側からグリーンラインに入り、まずは鎌北湖に。小さな人造湖ですが、ひっそりと佇む感じで風情がある湖です。
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そこからしばらく走ると右側に、うっかり見逃しそうな男女逢瀬を取り持つ縁起地蔵でもある北向地蔵尊がぽつんと立っています。ここで今回のツーリングの安全を祈願して、再びグリーンラインを進むと、江戸時代の天文学者が独学したという岩窟の天文霊神があります。バイクを絡められるフォトジェニックな場所です
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そこからしばらく走ると、源義経がその絶景に顔を振り返らせたいう顔振峠に到着。
その由来通り、秩父山脈はもとより富士山までグリーンラインから直接絶景を望めるので、バイクと一緒に景色を撮ることが出来ます。時間があれば、茶屋やカフェなどがあるので、景色を眺めながらお蕎麦やコーヒーを飲みながらのんびりと寛ぐのも気持ちいいです。
ここから高山不動尊に向かう途中、道を別れて少し先にある八徳の一本桜は、満開時には叙情的なところであろうと感じさせてくれるので、4月にこの近くにツーリングに行かれる場合は、是非、立ち寄ってみられてはいかがでしょうか。
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顔振峠に並ぶ茶屋や カフェ。好天の日には 是非、団子でも頬張りながら素晴らしい眺望を望みたいです。ハイキン グの方々が多いので、走行注意&挨拶を。
さて、再びグリーンラインを走ると、高幡不動、成田不動と並ぶ関東三大不動のひとつ、高山不動尊に着きます。趣がある古刹の本堂は、境内に上がって参拝が出来るので立ち寄りお勧めです。
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そして、奥武蔵グリーンラインのハイライト、関八州見晴台に着。駐車場から少し山道を登りますが、その名の通り、好天ならば関東平野から秩父連山、そして富士山まで素晴らしい眺望を望めます。
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この後、グリーンラインは各峠を過ぎて、途中で横瀬の町に下ります。
この辺りから秩父の代表的な山の武甲山が大きく見え出します。山中から採れる石灰岩の採掘により、人の手によってその山容を変えてしまった武甲山。まるでピラミッドを連想させるその異様な山容は、悪の組織の基地のようにも思えて、男心的には見ていて何となく気分が高揚する山でもあります。
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さて、横瀬町中に下りたら、まず行ってみたいのは寺坂棚田です。昨今の棚田ブームの中で、比較的都心から近い棚田であるとともに、バックに武甲山がそびえ好景観を望めます。
そして、近くの羊山公園に。4月中旬〜5月上旬の芝桜のシーズンは絶景が望めるが渋滞は必至。但し、芝桜が咲いていなくても見晴らしの丘からは秩父の景観が望めるので、通常の時期でも、是非立ち寄ってみたいです。
◇秩父の桜見(4月初旬~5月初旬)
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秩父市内に入ると、パワースポットの秩父神社や千体以上の石像がある金昌寺など見所も多いですが、腹ごしらえのため、わらじカツ丼でお馴染みの安田屋日野田店さんに。並んでいることが多いですが、比較的回転がいいのでそれほど待つことがないことが多いです。時間が無ければ、市内各所にあるお蕎麦屋さんも美味なところが多いので、事前に要チェックを。
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そして、156mと重力式コンクリートダムとして国内第2位の高さの堤体を持つ浦山ダムに。ダム上からの眺望は素晴らしいですし、ダム下にも駐車場があり、堤体と一緒にバイクが撮れるのが嬉しいです。もちろん、ダムカードはありますし、そして、ダムカレーも食べられます。
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そこからしばらく走った所に、急階段に赤鳥居が連なる平沢稲荷神社や、不動名水などニッチな名所があり、ぷらっと立ち寄って見るのも面白いです。
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そして、今回の最後の目的地、清雲寺と若獅子神社に。取材時はまだ開花前でしたが、桜が咲けば素晴らしい景色が見られるに違いないでしょう。ちなみに、この辺りからは武甲山の好眺望が望めます。
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ここから関越道経由で帰路に着きましたが、時間があれば関東屈指のパワースポットの三峯神社や、6.6 km の雁坂ト ンネルを抜けて山梨県に入り、西沢渓谷やほったらかし温泉、そして4月初旬に満開となる桃源郷に行くのもいいです。
今回は、奥武蔵グリーンラインを走り秩父へと回りましたが、爽快な道や壮大な景色こそないものの、歴史やその土地土地の風情を感じることが出来る、趣きを楽しめるツーリングコースだという感じがいたしました。
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