バイク遊びを楽しむファンバイク
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スクータースタイルながらDCTを装備しマニュアル的な操作が楽しめるX-ADV。誕生は2021年のミラノショーで発表されたNC700D(インテグラ)。ニューミッドコンセプトの三車種(ネイキッドのNC700S、クロスオーバーモデルのNC700X、スクータースタイルNC700D)の1モデルで、三車種のエンジンや車体の構造をほぼ同じにしてコストダウンがはかられました。エンジンは水冷SOHC 4バルブ 直列2気筒669ccエンジンを搭載。NC700Cの59.85万円〜、NC700Xの64.995万円〜に比べるとDCT車のみということで高くなったものの、インテグラも808,500円という価格で販売されました。
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2014年にNCシリーズは745ccに排気量がアップ。インテグラ(NC700D)も排気量が745ccになり、そして、事実上の後継機種として、2017年にX-ADVが発売されました。
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さて、現行のX-ADVは2021年に全面改良されたⅡ型になります。エンジンは水冷4ストロークOHC4バルブ直列2気筒745ccエンジンを搭載し、6,750回転で43kw(58PS)の最高出力を発生させます。
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見た目はスクーターのまんまで給油口は通常のスクーターのように足を置く間にあります。
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エンジンはキーレスのHonda SMART Keyシステムで、スイッチをポンと押すだけでエンジンがかかります。745ccもあることもありますが、アクセルを回すとグッと通常の大型スクーターでは味わいづらい加速力を楽めます。直列2気筒エンジンは同型エンジンのNC750Xと同様に低中速トルクが厚く、トルクで押し出して進む感じの走りです。最大トルクは69N・m[7.0kgf・m]もあり、4,750rpmの低い回転で発生させます。
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逆に745ccもあるので、思った以上に結構大柄でまあまあシート幅があるため、790mmといったシート高から思う以上に足つき性はキツかったです。ただし、スクータースタイルですので、そこまで足つき性のキツさは気になるものではありませんでした。なお、大柄なボディとアクセルをひねるとグッとくるレスポンスさから、街中ではちょっとオーバースペックな感じがしました。逆に、今回は走れませんでしたが、高速道路では楽にスムーズにそして追い越しなどもしやすいかと思います。ライダーが後輪の駆動力を選択できるトルクコントロールも装備しています。
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特に片手で5段階に高さを変えられるスクリーンは秀逸。これは、ぜひNC750Xにもつけてもらいたい装備です。ディスプレイは5.0インチTFTフルカラー液晶メーターで、前出のCBR650Rと似たシンプルな感じです。ただ、燃料計なとを含めてシンプルすぎる感もありました。また、Bluetoothでスマートフォンとの連携を可能してマップや音楽を操作できるHonda RoadSyncを装備しています。
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そのHonda RoadSyncを操作する4wayセレクトスイッチを左ハンドル側に装備。夜はLEDが光り操作を補助します。
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シート下にはフルフェイスヘルメットが入れられる22Lのラゲッジボックスがあります。但し、シートの開口がガバッと大きくは開かないので、そこが荷物を出し入れするのに若干ネックに感じました。あと、フロント右側にフロントポケットが装備されています。キースイッチには自車の位置が確認できるシステムも装備しています。
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そのほか、ライディングモードやクルーズコントロール、グリップヒーター、ETC2.0にナックルガード、エマージェンシーストップシグナル、エンジン下にスキッドプレートを装備と、てんこ盛りの装備がある反面、価格は143.88万円とかなりいいお値段になっています。
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DCTについては前出のNC750Xと同様で、DRIVE/MANUAL ボタンがあり、DRIVEでバイクが勝手に変速してくれる自動変速モードになり、MANUALで手元(左ハンドル)の+ーボタンで自分で変速できます。N(ニュートラル)ボタンを押すとギアが繋がっていないニュートラルの状態になります。
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マニュアル(M)モードでのギアチャンジは左ハンドルにあり、左人差し指で+(ギアUP)、親指でー(ギアDOWN)を行えます。自動変速のドライブ(D)モードでも「ーボタン」のみ使えて、峠道なのでエンブレを使いたい時や、街中で1速落として加速したい時などにーボタンを押してギアを下げることができます。但し、ドライブ(D)モードでは+ボタンは作動せず、任意にギアを上げることはできません。そして、バイクを駐車する時はサイドブレーキを引きます。
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正直、スクータースタイルなので、別に変速なしの無断変速でもいいのでは?なんて思ったりもしましたし、実際FUN領域のビッグスクーターとして無段階変速のスクーターのヤマハのTMAXなどもあります。では、なんで電子式変速にしたのかといえば、個人的な考えにはなりますが、まず、前出しましたニューミッドコンセプトにあり、バイクの値段が高額になっていき、またこの手のバイクが売れる欧米日本などは少子化もありライダーの高齢化が進む中で、もちろん高齢ライダーが乗りやすくなるように、という意図もあるかもしれませんが、バイクに乗ったことのない方、特に若い方にバイクに乗ってもらい、バイクを楽しんでもらいたいという考えで、エンジンなどを同じにしてバイクの値段を安くして、そして、バイク操作の中でも難しいクラッチ操作を無くしつつも変速の楽しむを味わえるDCTを装備したと考えられます。
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その中で、乗りやすいスクータースタイルで、そして(国内的には)スクーターブームでスクーターに乗ったことのある30代や40代の層にも違和感なくギアを変速して楽しむために、ニューミッドコンセプトの中でスクータースタイルでのDCT設定がされたのかと思います。NC750Xがよりライダーが楽に乗れるようにしたバイクとしたら、X-ADVはバイクに乗ったことのない人にも乗りやすくてバイクを操る楽しみを味わえるバイク、というような感じがします。もちろん、欧州ではビッグスクーターの市場が大きいというのもあると思います。
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そして、スクータースタイルながらデュアルパーパス系のタイヤを装着して、ナックルガードやエンジン下にスキッププレートを装備し、まさしく悪路での走破を考えられており、石畳などが多い欧州などでは有用で、実施に欧州ではX-ADVは人気で多く売れています。ですのでファンバイクという意味での楽しむスクーターとしては、DCTがあることによってよりバイクのライディングを楽しむためにギアを上げ下げできて、よもすればそこからギア付きのバイクにも乗ってもらい、バイクを操る楽しさを味わってもらい、バイクの面白さを拡げて多くの人にバイクに乗ってもらいたいというホンダさんの考えの表れが感じられます。その為だからこそ、DCT設定車もE-clutch装着車も非常にリーズナブルに設定されているのだと思います。
とはいえ、ラグジュアリー化したTMAXもそうですが、主販売場の欧州のマーケットに合わせて大柄化して長距離ユースも楽しめるよう装備充実=値段が高くなってしまったのは、日本の市場やフィールドを鑑みますと残念ではありますが…
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