箱根の秘景を巡る(スズキ GSX-8R)

都心からほど近くて人気観光地の箱根。アクセスも良く絶大なインバウンド効果を挙げている場所です。はたしてそんな箱根にもバイクでゆったりと回れて観光する人も少ない秘密の景色はあるのでしょうか?…ということで、探しにツーリングに行ってみました。もちろんあまり歩かずに見れる場所限定です。

石垣山城 本丸跡近くの展望台より

古の風情を楽しめる旧東海道

箱根の絶景地というと何処を思い出すでしょうか。芦ノ湖、箱根神社、恩賜箱根公園、大涌谷などでしょうか。しかし、今やインバウンド効果でどこの観光地に行っても混んでいますし、箱根駅伝で有名な国道1号線や湖沿いの県道は相変わらず慢性渋滞しています。そんな箱根ですが、元々狭いエリアでもあり、昨今はライダーにとって伊豆への通過点と化している気もします。実は、そんな人気観光地の箱根にも空いている観光地、空いてる道があるのです。今回は、訪ねる人も少ないそんな箱根の秘景を巡るツーリングに出掛けてみました。

石垣山一夜城歴史公園入口

まずは、小田原厚木道路の小田原西ICで降りて600m先にある干物の山安 ターンパイク店に。お店は9時から営業していますが、2階の食堂は11時からだったため、先に近くの石垣山一夜城歴史公園へと向かいました。

干物の山安 ターンパイク店

石垣山の一夜城は歴史で習ったこともありますが、豊臣秀吉が全国統一の仕上げとして残る北条氏の討伐を行った際に造られた城です。北条軍5万4千人に対して豊臣軍は難攻不落の小田原城を22万人の兵で囲みました。現地を見ると分かりますが、東京ドームより広い面積を有した総石垣の城だったことから鑑みて流に一夜で城を作るのは不可能かと思われますが、伊達政宗が白壁を紙で貼ったものと見破ったことからもいえるように、かなり突貫(約80日)で築城したことは間違いないようです。

石垣山一夜城 二の丸

長期戦も視野に入れていたのか、秀吉は大阪から淀君や千利休などを同城に呼び寄せたのですが、秀吉が同城に入った約10日後に北条氏が降伏しました。そんな石垣山の城でありますが、広い無料駐車場が完備されていて、本丸跡までは歩いて15分ほどで行けます。展望台や二の丸横の井戸曲輪跡からは小田原市街と駿河湾の絶景を望むことができて、お勧めの立ち寄りスポットです。

石垣山一夜城の井戸曲輪跡からの景観。

特にお勧めは、石垣山一夜城の井戸曲輪跡からのは駿河湾の絶景で、この景色を見ると、豊臣秀吉と徳川家康が並んで連れションをして秀吉が家康のに関東への国替えを命じた逸話も信ぴょう性が高く感じられます。

なお、石垣山一夜城の駐車場の近くのにはガーデンがあり、その中に川島なお美さんの慰愛碑が立っていました。

川島なお美さん慰愛碑。

そして、干物の山安に戻り食事をとりました。今回は時間も押していたので金目鯛のひつまぶしをいただきました(干物定食は注文後、約15分〜20分くらいかかるため)。

金目鯛のひつまぶし[山安食堂] 1,200円。

ひつまぶしの美味しい召し上がり方

干物の山安の駐車場では、試食用の干物を自分で焼いて食べることができます。

さて、次に北条五代のお墓がある早雲寺に立ち寄りました。実は、今回のお薦めの空いている道というのが県道732号線、旧東海道で、箱根湯元から元箱根にアクセスできる約11 ㎞の道ながら、意外と交通量が少ないのが嬉しい道です。

北条五代が眠る早雲寺

ただし、この県道732号線ですが、畑宿から元箱根までの区間で土日・休日は8時から15時まで550㏄未満の自動二輪車は通行禁止なのでご注意を。

畑宿~元箱根は、土日・休日は8時から15時まで550㏄未満の自動二輪車は通行禁止。

そして、この旧東海道には風情ある秘景が多いのも特徴です。まずは、ホテル天成園の裏にある飛烟の瀧・玉簾の瀧に立ち寄りました。

飛烟の瀧

急坂を下り、現地には二輪駐車場が無いので(有料の四輪駐車場はあり)、少し離れた場所に駐車する必要はあるのですが、その労以上の滝景を見ることができます。特に飛烟の瀧は池を泳ぐ鯉と滝とののコラボレーションが素晴らしい滝でした。

歌人の与謝野晶子が「「山荘へ 玉簾の瀧 流れ入り 客房の灯を もてあそぶかな」と詠んだ玉簾の瀧。

再び旧東海道に戻り、箱根寄木細工の発祥の地でもある畑宿に。ここには駐車場のすぐ近くに一里塚があります。散策しつつ、持参した水筒で喉を潤わしました。

畑宿一里塚(箱根旧街道)へと向かう駐車場。

畑宿一里塚(箱根旧街道)へと向かう駐車場は、日陰は少ないですが、W. C.や自販機があるので休憩しやすいです。また、周辺には寄木細工のお店が点在しています。ちなみに、ここで休息中に一里塚の方(未舗装路)から車が走ってきたので(車で走っていいんだ…と)驚きました。

旧東海道の畑宿にある日本橋から23番目の一里塚。石畳あり。

そして、元箱根方面へと進むと、やがてヘアピン路が連続する七曲りを通り、甘酒茶屋に到着。駐車場にバイクを置いて人気の力餅を頂きました。流石にここは外国の方が多かったです。

週末は待つことも多い茅葺き屋根の甘酒茶屋(7時~17: 時半)。
人気の力餅は、いそべ、うぐいす、みそ(コマOがあり600円。甘酒の温冷ありノンアルコール(500円)

鎌倉期の磨崖仏が道脇にあり

旧東海道を走っていると風情のある箱根旧街道を道脇にみることができます。お勧めは甘酒茶屋から元箱根方面に400mほど進んだカーブの先にある箱根旧街道の入り口で、バイクを絡めてフォトジェニックな写真が撮れます。

箱根旧街道

甘酒茶屋を後にしてお玉ケ池の横を通り国道1号線に。国道を右折してそのまま3㎞ほど走りますと、右側に未舗装の駐車場があります。伸びた草で分かりづらいですが、そこに石仏石塔 案内板があります。実はここから草藪に隠れた地下道を通ると、すぐに元箱根磨崖仏群に行くことができます。なんとこの磨崖仏は約700年前の鎌倉時代末から室町時代前期に彫られたものとのこと。また、池沿いの古道を歩いて途中で国道を潜ると、高さ約3・2mの鎌倉時代に彫られた巨大な六道地蔵があります。

元箱根磨崖仏

国道1号線脇にある精進池沿いの古道に点在する磨崖仏群。鎌倉後期に彫られ、江戸時代には観光名所にもなったとのこと。国重文に指定されています。

二十五菩薩
六道地蔵

これらの磨崖仏群は国史跡でもあり歴史的に価値が高いものですが、それが箱根の国道脇にポツンとあるなんて驚きです。ちなみに、同駐車場から100mほど北に歩くと日本三大仇討ちの曽我兄弟の墓がありますので、ぜひ合わせて訪ねたいところです。

鎌倉期の仇討ちで亡くなった曽我兄弟の墓。小さい塔は十郎の妻の虎御前の墓と伝えられています。


その後、東光庵熊野権現旧跡に立ち寄り、最後にSNSで人気が高まった千条の滝に向かいました。

江戸時代の半ばに箱根に湯治にしに来た文化人たちが集った茶室の東光庵熊野権現旧跡。

国道を外れて狭路を進み千条の滝入口から10分ほど歩くと滝に到着。幾筋にもなり落水する、高さ3m、幅20mの小さな滝で、迫力こそ無いですが、涼を感じられる滝です。

箱根小涌園の南奥にある、すだれ状に水が幾筋にもなって流れ落ちる幅約20mの千条(ちすじ)の滝。高さは3mで豪快さこそないものの、清涼感が感じられる滝で、撮り様によっては映えます。


そして、深秋には一面がススキ野原になる仙石原を横目で見ながら、やはり慢性渋滞だった国道1号線をバイクの冷却ファンを回しながら下りつつ、帰路に着きました。

仙石原
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