2024年式 SUZUKI GSX-S1000GX に乗ってみました。

スズキのグランドクロスオーバーモデルのGSX-S1000GX。グランドクロスオーバーというと馴染みのないカテゴリーですが、アドベンチャーバイクをよりロード寄りで、よりハイスピードに、そしてよりアグレッッシブなスポーツライディングに、といったカテゴリーのようです。

実は、ビッグバイクの主戦マーケットである欧米や日本などでは、ライダーの高齢化に伴い、スポーツバイクからポジションが楽で移動がしやすいアドベンチャーバイクのマーケットが大きくなっています。その中でも大陸をやアルプス山脈を横断するような欧州のロングツーリングでは、通常のオフロードの走破性を鑑みているアドベンチャーバイクよりも、よりロード寄りの性能を重視し、しかも、高速移動がしやすいスピード(馬力のある)が出やすいバイクの需要が増えていることもあり、スズキもGSX-S1000ベースでそのマーケットにGXを投入してきたという感じでしょうか。

スズキではアドベンチャーバイクのカテゴライズとしてはVストローム1050がありますが、VツインのVストローム1050が106馬力に対して、直列4気筒のGSX-S1000GXは150馬力ものパワーを発生させます。

GSX-S1000GXは、ライディングモードやトラクションコントロール、手元で設定変更ができる電子サスペンションほか電子スロットルやクルーズコントロールなど最新のスズキインテリジェントライドシステムを搭載していて、ゆったり楽にそして安全に走りを楽しめます。GSX-Sシリーズで搭載されていますGSX-R1000・K5ベースのエンジンはその加速力はもとより、スポーツ走行も楽しめます。

ディスプレイには6.5インチフルカラー TFT液晶を採用し、専用アプリの「SUZUKI mySPIN」をインストゥールしたスマートフォンと連携して、さまざまな便利なアプリや機能を利用できます。

さて、実際に跨ってみますと、ちょっと足つきが厳しい腰高な感じです。シート高が830mmあるのと、そんなにサスペンションが沈み込まないからなのかなと思います。それでもシート全端部がくびれている分、830mmと数値のイメージしてよりはやや足つきは良いような感じは致します。

ハンドルはバーハンドルでフローティングハンドルマウントが採用され振動を軽減。

ポジションはアップライトなポジションで、まるでアドベンチャーバイクのような感じです。

さて、エンジンをかけてみますと、直列4気筒の図太いエンジン音を奏でます。以前にはGSX-R1000にも搭載されていた同エンジンはレスポンスもよく、最高出力を11,000回転で発生させます。実際に走らせてみると、まさにスーパースポーツ系のエンジンで、そのエキゾーストノートにワクワクさせられます。

個人的には、GSX-S1000/GTやKATANAに搭載されているこのエンジンが好きで、150PSという大出力を発揮する割りに低速時のスロットルコントロールがしやすく、そして、一度、スロットルを回すと体が置いていたれるような怒涛の加速力を魅せ、乗りやすいながら、ワクワクドキドキの興奮を味わえるエンジンだと思います。

なので、逆に言いますと、GSX-S1000/GTやKATANAのようなスポーツバイクにはとってもしっくりくるのですが、グランドクロスオーバーと言うジャンルのこのGXには、ちょっとオーバースペックなエンジンなような気もいたしました。

このグランドクロスオーバーというジャンル自体がよく分からないのですが、長距離ツーリングなどを行うのであればやはりリッター4気筒の燃費は少々辛い感じがします。メーカーのWMTCモード値が17.0km/Lですので、満タンで323kmと、長距離ユースとすると少々物足りない感じがします。また、エンジンがハイパワーな分、やはり酷道などでの走行やUターン時にはスロットルを開けすぎないよう気を使います。

ただ、ポジションや、ロングスクリーンや大型のリアキャリアなどの装備類を見ますと、やはり長距離ツーリング用のバイクであることは間違いなく、それであれば2気筒でより燃費の良いVストローム1050というアドベンチャーバイクがスズキにあります。そこでグランドクロスオーバーというジャンルなのですが…

アドベンチャーバイクがどちらかというと、未舗装路や酷道などの走破も鑑みてのセッティングやスタイリングになっているのに対して、やはりグランドクロスオーバーはロードよりで、特に高速道路などでハイスピードで移動するのを得手としています。

タイヤもダンロップのツーリング用タイヤのロードスマート(Ⅳ)ではなく、スポーツ系のロードスポーツ(2)を履いているのも、その証しかと思います。

昨今、トライアンフのタイガーや、BMWのGSなどが高出力化しているのもその流れかもしれません。とは、国土の狭い日本ではその性能を持て余してしまいそうです。

それでも、スズキの最新の電子制御システムのスズキインテリジェントライドシステム(S.I.R.S.)を装備しており、その恩恵から各所で安全な走りをサポートしてくれるのはもちろん、スズキの最新の電子制御システムがあるという所有感にもつながります。

ただ、キーレスやシートヒーターなどを標準で装備していなく、スクリーンの可動も工具が必要とするため、価格は200万円弱もするバイクとしてのラグジュアリー感が薄いのが難点。グレードにもよりますが、タイガーやGSはこの辺りの装備でラグジュアリー感をうまく演出しています。あと、ディスプレイが英語表記なので、セッティングが分かりづらいです。

今、欧州で新潮流のグランドクロスオーバー。高出力で高速での巡行を楽しめる旅バイク、という感じでしょうか。とはいえ、日本ではまだまだ馴染みが少なく、そのプレミアム感がわかりづらい中、スズキの最新の電子制御システムがてんこ盛りといえど、なかなか200万円弱の価値観を見出すのはまだ難しい感じがいたします。特に、よりスポーティながら、同エンジンを積むGSX-S1000GTと40万円近い価格差があるのは購入する判断を難しくさせるかもしれません。とはいえ、今後の新ジャンルの旅バイクとして、期待したいバイクではあります。


全長/全幅/全高(mm):2,150/925/1,350 シート高:830mm 車重:232kg 水冷直列4気筒DOHC4バルブ 998㎤ 最高出力:110kW(150PS) / 11,000rpm タンク容量:19L カラー:トリトンブルーメタリック、パールマットシャドーグリーン、グラススパークルブラック 価格:1,991,000円 

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