2024年式 スズキ GSX-8Rに乗ってみました。

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ワインデイングでのスポーツ走行を楽しめるスポーツツーリングバイク

スズキの775cm3の排気量のミドルビッグバイククラスの水冷2気筒バイクです。同じエンジンを搭載するシリーズとして、まず、Vストローム800(DE)が発売され、続いてネイキッドモデルのGSX-8Sが、そして、カウルモデルのこのスポーツモデルのGSX-8Rが発売されました。

エンジンもそうですが、実は3車ともほぼフレームも共有していて、たぶん、メインがVストローム800(DE)なのか、GSX-8SもGSX-8Rも、他の同様のモデルに対してホイールベースが長いです。同車のホイールベースは1,465mmで、これはスズキのGSX-R1000R(1,420mm)やカワサキのZ900(1,455mm)よりも長いのです。オフロードモデル(800DE)をベースに、ある意味スポーツモデル(8R)を作るなんて、製作現場はさぞかし大変だったんだろう、なんて思ってしまいました。

もちろん、オフロードモデルであれば未舗装路の走破などを考えれば、安定感の高いロングホイールベースの方がいいでしょうし、ネイキッドモデルのGSX-8Sであれば、まあ、ロングホイールベースの恩恵での高速安定性に優れていてツーリングしても疲れにくいというメリットがあります。しかし、仮にも名に「R」を付け、カウルをまとったスポーツモデルとしては、ロングホイールベースはいかがなんだろうか…と、思いました。

スポーツ系バイクのほとんどが、コーナーで小回りがしやすく、且つバンクがしやすいようにショートホイールベースになっている中でのロングホイールベース。乗る前に同車で一番気になっていたのがそこでした。

さて、デザイン的には、昨今のスズキのGSX系のアイディンティティであります、縦目二眼を採用。個人的にはタンク周りが現行のKATANAを彷彿しているようで、特に斜め後ろから見ると格好良いデザインだな、と思いました。

シート高は810mmで、スポーツ系バイクらしくシートの先端が絞られていますので、足つけ性はいいかと思います。ただし、やはり積載性は低く、座面の広さはともかく、シートバッグを固定するべるとが付けづらいのが難点です。

タイヤはダンロップのロードスポーツ2を装着。ツーリング系のロードスマートⅣではなく、ワインディング走行を楽しむような溝が少なめのプレミアム・スポーツラジアルタイヤを装着しているところが、スポーツバイクとして車体がセッティングされていることを伺えます。

エンジンは水冷2気筒DOHC4バルブ 775cm3で、最高出力を8,500回転で59kW(80PS)で発生させます。

電子制御システムとしては、最新のスズキインテリジェントライドシステム(S.I.R.S.)を搭載していて、アクティブ、ベーシック、コンフォート(レインじゃなかったです…)の3つの走行モードを選べるスズキドライブモードセレクター(SDMS)やスズキトラクションコントロールシステム(STCS)、双方向クイックシフトシステム、電子制御スロットルシステムなどを装備。各設定は左ハンドルスイッチのモード/セレクトスイッチで行えて、視覚的にも感覚的にも使いやすいです。

ただし、ツーリング中では、やはり、スズキのイージースタートシステムやローRPMアシスト(エンジン回転の落ち込みを抑制する装置)の恩恵を実感できました。

ディスプレイは今風の5インチのカラーTFT液晶で、アラートや警告を大きくポップアップ表示するシステムや、はエンジン回転インジケーターとしても機能するタコメーターなど多機能ですが、ぱっと見、スマホを横にして見ているような感じがして、重要な情報がすぐ目に入ってきにくいような気がしました。特にTCやSDMSの表記が目に入りやすく、その下のスピード表示と一緒に目に入ってしまうことと、ガソリン系はできれば、もう2倍くらいの表記(詳細)があればよかったかな、と思いました。

さて、またがってみますと、スポーツ系バイクながらそんなにハンドルが垂れていないながら、少し前屈みになるくらいの微妙なポジショニングです。これは、トップブリッジ上に装着されたセパレートハンドルが、特異な形状をしつつ微妙に垂れ角がついていることから、ややスポーツ系のポジショニングになったのかな、と思います。GSX-8Sや似たようなフロント形状のKATANAがアップハンドルだったのに対して、スポーツバイクとしてのアイディンティティとしてセパレートハンドルとそのポジションセッティングに苦労されたんだろうな、と感じました。

ちなみに燃料タンク容量は、KATANAが12Lに対して、GSX-8Rは14L。ツーリング使用時のGSX-8Rの燃費が23.13km/Lでしたので、満タンでの走行距離は約323km。ツーリングバイクとしてはやや少ないですが、スポーツバイクとしては及第点ではないでしょうか。個人的には、アップハンドルの現KATANAがこのセパレートハンドルを採用して、若干ですがタンク容量が14Lにアップすれば嬉しいところです。

さて、実際にエンジンをかけてみますと、同エンジンのVストローム800DEの時にも記載しましたが、かなり音量が絞られた感じの排気音で、ショートマフラーとは思えないほどにとても静かです。アクセルを回しても、ツインかな、と思える感じのドコドコ音は奏でますが、それでもジェントルな音量。過度な排気音を期待していた方は拍子抜けするかもしれませんが、静かなエンジン音を好む方には高評価かもしれません。

イージースタートシステムの恩恵に預かりエンジンを始動。アクセルを楽に繋ぎ、軽い感じでスルスルと走り始めました。ツインエンジンながらとてもニュートラルな感じでエンジンが回りますので、市街地走行などはかなり楽に走れます。ただし、若干ポジションが前屈みということもあり、やはりGSX-8Sの方が楽です。高速を走りますと、スルスルっと加速していきますが、決して1000ccの4気筒バイクのように畏怖感を感じるような加速ではなく、ミドルの2気筒バイクらしい自然な感じの加速でアクセルも回しやすいです。エンジン音も静かですし、スズキ クロスバランサーのおかげか振動も少ないです。ただ、やはり回転は8,000〜9,000回転くらいで頭打ちをします。

さて、峠のワインディングロードに入りますと、当初、懸念していましたロングホイールベースですが、ショートホイールベースのスーパースポーツバイクのようにバタンと寝るのでなく、じっくりとバンキングするので、実際にはカーブにおいては安心して寝かせやすく、特に急な登坂ヘアピン路などではすぐに車体が倒れることがないため、安定的で安心して走ることができました。

そして、エンジンがどの回転行きでもニュートラルであることから、カーブでラインを間違えた際も、どの回転域からでもリカバリーがしやすかったので、結果的に、峠道などでは個人的に安全マージンを取りつつ楽しくスポーツ走行が出来ました。もちろん、好んで高速度でワインディングを攻める方にも物足りないかもしれませんが、自己満足の中で、一般道のワインディングでスポーツ走行を楽しみたい方には、実はこのロングホイールベース&ニュートラルな回転のエンジンは安心感を得られるものだと感じました。ただし、サーキットなどでタイムを競うには、やはりバンキングしやすい通常のショートホイールベースのスポーツバイクに比べて、同GSX-8Rは不得手かもしれないと思いました。

安定感が高いため高速道路も走りやすく、ポジションも低すぎずエンジン音も静かで、走っていてもスポーツバイク系としては疲労感は少なく、デザインもタンク周りはKATANAを彷彿+GSX系の縦2眼ライトで格好良い(と、個人的には思いました)。スポーツバイクでロングホイールベース(1465mm)なのですが、市街地走行や高速走行、峠道や酷道、荒れた路面などいろいろなシーンを走るツーリングに関してはこの安定感が高いロングホイールベースが、実は有益だと感じました。いい意味で一般道での走行では汎用度の高いスポーツバイクだと思いました。同車の発表会でスズキのテストライダーの方が「ぜひ乗ってみて下さい!」と太鼓判を押していたのも納得の万能スポーツバイクだと思います。個人的には、もう少しキャラが立つ内容だったら良かったのにな、とも思いました。


全長/全幅/全高(mm):2,115/770/1,135 シート高:810mm 車重:205kg 水冷4サイクル2気筒DOHC4バルブ 775cm3 最高出力:59kW(80PS) / 8,500rpm タンク容量:14L カラー:マットソードシルバーメタリック、トリトンブルーメタリック、マットブラックメタリックNo.2 価格:1,144,000円 ※ツーリング時の平均燃費:23.13m/L

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