ドラレコとETC2.0、スマートフォンアプリ対応が標準装備
398cm³の並列2気筒(パラレルツイン)エンジンを搭載したロー&ロングフォルムのスタイルが特徴的なエリミネーター。タンクからテールにかけて直線的なこのデザインが、1980年代に発売された先代エリミネーターを彷彿させてくれます。
さて、実際に跨って見ますと、まずびっくりしますのがその足付きの良さです。両足の膝がまがってのベタ足。それもそうで、シート高が735mmとかなり低いです。発売以降、ずっと売れ続けているレブルシリーズの売れている要因のひとつとして足付き性の良さがあります。
バイクの販売のグローバル化&国内の販売台数減により、ファンバイクは欧米向けの高身長のライダー向けが多くなり、個人差にもよりますが、身長150~160cmくらいですと片足のつま先立ちでしか付かないバイクも多くなり、かなり怖さを感じます。ちなみに、レブル250のシート高は690mmというクルーザータイプではありますが驚異的な低シート高を誇っています。
そして、ポジションは ロー&ロングフォルム であまりハンドルがプルバックされていないこともあり、ちょっと前かがみ的なボバースタイル。ハンドル幅もショートで(全幅:エリミネーター/785mm、レブル250/820mm)エリミネーターのイメージらしいドラッグバイクタイプのポジショニングな感じです。
車両重量も178kg(ノンカウルのエリミネーターは176kg)で、250ccのレブル250が171kgであることを考えますと、400ccということでかなり軽量化が図られていると思います。「足付きの良さ」「軽量(=取り回ししやすい)」というのは、今、国内で販売するのに売れるための条件の要素のような気がします。
但し、エリミネーターは軽いので押し引きしやすいですが、ロングフォルムながらハンドルがショートということもあり、押し歩きしてハンドルを動かし、右回りや左回りする際にはちょっと力を要することが必要なときもありました。
メーターは円形のモノクロデジタルメーターで、中央にスピードメーターが、そして、上半分が回転計になっていて、そのほか、トリップメーターや燃料計、そして時計などがあり、パッと見、分かりやすいメーターですが、ちょっと、表示自体が小さめなことと、陽光下では見づらくなることもありました。標準装備のETC2.0のランプもあります。
SEに標準装備されていますドライブレコーダーのスイッチはハンドルの左側にあります。また、スマートフォンアプリ「RIDEOLOGY THE APP」対応していて、バイクから離れていてもスマホで走行距離や燃料、走行ルートなどを確認することができます。
ハンドルの左、および右ともに、スイッチ類は基本的なものだけで、分かりやすいです。
標準タイヤは安定感の高い、IRCのクルーザータイプ用のバイアスタイヤを装着しています。
エンジンは水冷4ストローク並列2気筒DOHC4バルブ398cm³のエンジンで、同エンジンは同社のNinja400やZ400のエンジンをベースにしたもので、最高出力を48PSを10,000回転で、最大トルクを8,000rpmで発生させます。この辺りは、ライバルというわけではないですが、(250ccではありますが)レブル250の26PSに対して、かなり高出力を発生します。さて、早速エンジンをかけてみました。
エンジン音は意外と乾いた感じのスポーツ系のサウンドで、回すとヒュイーンヒュイーンと軽やかに回転が上がります。但し、逆に重低音やパルス感は薄く感じられました。
かなり軽いクラッチを繋いで走り出してみますと、思ったより低速があり、足付きの良さとあわせて市街地でも走りやすいのですが、やはり、ハンドルがショートな分、右回りや左回りは車体が倒れ込む際にハンドルの切れ角の余裕が少ないので、ちょっと神経を使う場合もあります。
また、エンジンは軽く回るのですが、逆にエンジン音が軽い部分、クルーザー的な意味でのテイスト感(パルス感)が薄く感じられました。この辺は、個人的な好みもあるかもしれませんが…
但し、標準装備のETCにより、すっとゲートをくぐって高速に入りますと、まさにスポーツモデル系ベースのエンジンらしく、スピードにのり爽快な走りを楽しめます。法定速度ではもちろん、追い越し車線から追い越しを行うことも出来やすいです。この辺りは、高速での追い越しに(時間がかかって)ためらいがちになりやすいレブル250とは明らかに異なるエンジンパワーです。しかも、ギアを上げて、回せば回すほど気持ち良いです。
いろいろ、レブル250と対比してしまいましたが、ある意味、国内で圧倒的な販売台数を誇るレブル250を意識して作られたと思われますし、また、スポーツモデル系ベースの398㎤のエンジンをどう味付けしていくか…ということを考えつつ作られたバイクだとも思います。
そして、やはり足付きの良さ、 スマートフォンアプリ「RIDEOLOGY THE APP」対応、ETC標準装備、求めやすい価格など、メインマーケットはU30の若年層だな、と感じました。どうしてもZやWなどの大型バイクのイメージが強いカワサキですが、今後、カワサキ店(プラザ店など)に新たなライダーを取り込んで顧客化していくには、このような普通免許で乗れるお求めやすく、乗りやすいバイクが必要かと思いますし、特に、敷居がありそうなプラザ店などでは、まずは若い方にお店に入ってもらうためにも必要かと思います。そのための戦略バイクかもしれません。
税別78万円(エリミネーターは税別69万円!)で、ETC2.0と スマートフォンアプリ対応は、若年層にとってはかなり魅力的かと思います。とにかくETC標準装備はとても楽で、高速に乗ってちょっとツーリングに行きたくなります。ただ、前かがみ的なポジションは長距離ツーリングではやや披露が蓄積するかもしれません。
ただし、クルーザー的にイメージするようなドドド…といった排気音や、エンジンの鼓動のパルス感は薄いので、その辺のテイスト感を求める方にはちょっと物足りないかもしれません。また、レブル250に対して歴然にパワーはあるのですが、その分、398㎤ということで車検があるので軽二輪よりは出費がかさみがちです。このあたりをどう捉えるか…という個々人の部分もありるかと思います。
価格がリーズナブルで、ETCやスマホアプリ対応という今風の便利さや遊びの広がりやすさ、そして足付きの良さと、普通に乗るには遜色のないパワーということで、昔、バイクに乗っていた(当時の)中型免許を所持しているご年配のリターンライダーの方々にもお勧めできるバイクかと思います。もしかしたら、若年層の取り込みとあわせて、(ZX-4Rも含めて)そういう年配層にバイクに戻ってきてもらい、そのままビッグバイクにステップアップしてもらおうというカワサキさんの戦略があるのかもしれません。
ちなみに、エリミネーターのスタンダードタイプ(税込75.9万円)とSE(税込85.8万円)との違いは、「GPS対応の前後2カメラドライブレコーダー」「USB-C電源ソケット」「ビキニカウル」「フォークブーツ」「ツートーンシート」などになります。
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