秘境と酷道
ルートプランというよりは、徳島県を横断するルートになります。何しろ日本三大秘境の祖谷であり、そして国道439号線や国道193号線など全国に名だたる酷道のある険しいエリアで縦断するルートがほぼなく、オンロードのビッグバイクでは走行困難な県道や酷道を極力走らないようなルーティングしましたため(それでもしんどいですが)、ほぼ道一本の横断ルートになりました。ご自身のライディングの技量やバイクの車種、そして、時間に応じて寄り道場所を追加していくのもありかと思いす。なんといいましても、今回のルートのすぐ南には国内最長林道の剣山スーパー林道もありますので、オフ車でアタックされたい方は是非(但し、二人以上での走行をお勧めいたします)。
総走行距離~約170km
高松自動車道の徳島ICで下りて、そのまま県道11号線を南下して吉野川大橋で吉野川を渡河することも出きますが、交通量が多いため下流側の阿波しらさぎ大橋を渡河します。
この阿波しらさぎ大橋はケーブルイグレット橋という変わった形式の橋で、世界でも珍しい形の吊橋ですので記念に渡ってみるのも面白いと思います。そして、そのまま県道29号線を南下し、国道192号線経由で国道438号線に入り、園瀬川に沿って西へと向かいます。やがて徳島県で唯一の村の佐那河内村に入り、国道438号線の旧道にあります大正12年築の府能隧道や、厳かな風情がある天岩戸別神社などがあります。しばらく国道438号線を走りますと道の駅 温泉の里神山がありますので、小休止に立ち寄るのもいいかもしれません。ちなみに、道の駅の近くに”ぼけ防止”のご利益がある神宮寺があります。
さて、国道438号線を進みますと、雨乞の滝へと向かう道がありますので、左折して進みますと雨乞の滝の駐車場があります。駐車場から雨乞の滝までは登りの遊歩道を20分ほど歩きます。雨乞の滝は日本の滝100選のも選ばれています落差45mの三段瀑で、雄滝と雌滝の二つの流れを持っている風流な滝です。 雨乞の滝へと向かいます遊歩道からはうぐいす滝、不動滝、もみじ滝、観音滝なども望むことが出来ます。
雨乞の滝を後にして、再び国道438号線に戻り西へと向かいます。やがて、国道193号線への入口がありますが、剣山スーパー林道などへ行かれる方はこちらを曲がられるかと思いますが、今回は祖谷方面に向かいますため、そのまま国道438号線を進みます。ちなみにこの国道193号線を少し南下した場所に、春なら一面黄色の花が広がります江田の菜の花が、そして、ツツジが綺麗な花の隠れ里、秋ならまん丸の形をした中津の満月イチョウなどがあり、開花の季節に行かれるようでしたらちょっと立ち寄ってみられるのもいいかもしれません。
そして、国道438号線は酷道部分に入り、川井峠に到着します。峠には約20本の古木のしだれ桜があり、桜の時期はとても綺麗で、展望台からは剣山連峰を一望できます。
川井峠を下りますと民家が点在し、風情を感じつつ穴吹川沿いに沿って走ります。国道438号線も途中で車線なしになったり1車線路になったりしますが、アップダウンが減り走りやすくなります。道中には八幡の大杉という巨木もあります。
剣山・一の森富士の池登山口(コリトリ)という標識の辺りから穴吹川を離れて、再び国道438号線は狭路山岳路の酷道部分となります。樹々に挟まれた山の側面を通る小刻みなカーブを幾つも走り、そして、見ノ越トンネルを越えますと駐車場があり、民宿や蕎麦店がある、剣山観光登山リフトの入口になります。ちなみに近くに劔神社という剣山(劒山)の本宮神社がありますので、立ち寄られて参拝されるのも良いかと思います。
そして、剣山観光登山リフトを上りますと、剱山本宮古剱神社や整った遊歩道を少し歩きますが二度見展望所などの絶景地がありますので、時間とご興味がある方はは、是非トライされてみてはいかがでしょうか。
さて、 剣山観光登山リフトの先で国道438号線と別れて、国道439号線に入ります。別名、酷道ヨサクで有名な酷道路です。とはいえ、無車線路ながら一応国道のため最低限の舗装状態が保たれていますので、酷道であっても悪路ではないのでご安心を。祖谷渓沿いを走っているのですが樹々で渓谷が見えず、若干飽きが来始めたころに奥祖谷二重かずら橋に到着します。
奥祖谷二重かずら橋~約800年前に平家の一族が訓練に通うために作ったと言われる橋で、男橋と女橋の2本の橋が架かっています(550円)。
風情のある木の板と木の枝で作られた橋で、いよいよ日本三大秘境の祖谷に入ったなぁ、と実感できます。再び国道439号線で西へと向かいますと、国道沿いに民家が見えだしてきて、祖谷渓も見えて気持ち良く走れてきます。そして、天空の村・かかしの里に到着します。
そして、国道439号線を進んで行きますと、途中で奥祖谷観光周遊モノレール乗り場へと向かう道があります。
1周65分とかなり長いカブトムシ風の乗り物に乗って周遊する乗り物で、標高1380mの場所まで登ります。景観はいまひとつですがスリルと風情を楽しめます(2,000円、予約不可)。モノレール乗り場の近くには旧小采家住宅という茅葺屋根のちいさな一軒家もありますので、モノレールの乗らずともちょっと記念に乗り場まで立ち寄って見るのもありかもしれません。
さて、祖谷渓沿いに国道439号線を走って行きますと、なんと1車線路になります。そして、落合集落に到着します。
天空の集落とも言われ、急斜面に幾つものヘアピン路があり、斜面に沿って結構な数の家屋が建っている場所で、国重要伝統的建造物群保存地区にも指定されています。
落合集落 ~高低差390mの山の斜面に沿ってある集落で、 平家の落人伝説などが残っています。国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されています。
集落内には、長岡家住宅・重伝建という風情ある茅葺きの古民家があります。また、落合集落を望む展望台は道を挟んだた高台にあり、バイクでも行けるので是非、立寄りたい場所です。そして再び国道439号線で西へと向かいます。
しばらく走り、京上トンネルを越えた後に国道439号線から県道32号線へと入ります(実はこの先、国道439号線を進みますと酷道と言われる由縁の区間になります)。そして、龍宮トンネルには入らずに、狭路にはなりますが脇道に入りますと(鉄製ですが)東祖谷の吊橋があります。再び、祖谷渓に沿って県道32号線を進みますと、祖谷の代表的な場所で日本三奇橋のおひとつでもあります祖谷のかずら橋に到着します。
祖谷のかずら橋~冬場に山で採った丈夫なシラクチカズラを編んで縄にして作られた長さ45mの橋で3年ごとに架け替え行われています。日本三奇橋のひとつであり国指定重要有形民俗文化財に指定されています(550円)。
祖谷を代表する場所するのため、多くの観光客の方が訪れていて週末などは渡橋で渋滞が出来るほどです。橋は結構、木と木の間が離れいるので、高所恐怖症の方はちょっと渡るのがつらいかも、です。ちなみに奥祖谷二重かずら橋から祖谷のかずら橋までの距離は約30kmになります。
さて、そのまま県道32号線を進んで行きますと、途中で大歩危峡の方に向かいます県道45号線がありますが、そのまま県道32号線を進みます。そして3kmほど走りますと、ひの字渓谷があります。
まさに「ひ」の字の渓谷で、県道沿いに車が2~3台停まれます駐車スペースがあり、すぐに見やすいのが嬉しいところです。分かりにくい場所でもありますので、是非、ナビにブックマークして行くか、近くにいきましたら柵のある駐車スペースを気にかけて走っていると展望所を見つけやすいです。
そして、「ひ」の字渓谷からまた離合困難な曲がりくねった細い道を3kmほど進みますと、開けた谷間のところに祖谷渓のシンボルとも言えます小便小僧の像が崖上に立っています。
祖谷渓の小便小僧~高さ約200mの祖谷渓に突き出た岩の部分に立っている像で、地元の子供たちや旅人たちが度胸試しを行ったという伝えを基に、1968年に地元の彫刻家によって作られました。なお、柵が作られています。
小便小僧の像は柵の向こう側にあり触ることは出来ず、何故かお賽銭が多く散らばっています。駐車場は無くカーブが広くなって若干のスペース的なところはあるくらいで週末は渋滞になることもあります。
その先、3kmほど進みますと祖谷渓展望台がありますが、小便小僧の所から見る景観を大きくは変わらないので、今回はルーティングでは、小便小僧のところまで来ましたら再び来た道の国道32号線を6kmほど戻り、県道45号線に入り大歩危峡へと向かいます。吉野川を渡り国道32号線に突き当たりましたら右折して、しばらく走りますと「道の駅大歩危 」があり、展望台から大歩危峡の好景観を望むことが出来ます。
大歩危・小歩危(おおぼけ・こぼけ)~吉野川の急流によって、2億年の時を経て創られた約8kmの渓谷で、国の天然記念物にも指定されています。渓谷美を間近で見れる舟下りも行われています。
道の駅 大歩危には、なぜか妖怪屋敷も併設されています。実はこの辺りはこなきじじい発祥の地らしく、少し先には妖怪街道なるものがあり、道中にはこなきじじいの石像などがあります。
吉野川の大歩危峡に沿って国道32号線が走っているのが嬉しいところで、遠目に大歩危峡を見ながらバイクで走れます。 やがて、国定公園大歩危石碑の先に撮影ポイントがあります(「PHOTO SPOT」と書かれた看板があります)。また、もう少し先にも撮影スポットがあります。
そのまま、国道32号線を北上して大歩危洞門を越えますと、小歩危に入ります。そして、道中にある赤川橋から小歩危の好景観を望めます。
そして、赤川橋から国道32号線を3kmほど北上しますと、同じく吉野川に架かります国政橋があり、ここからも峡谷の美観を望むことが出来ます。
そして、そのまま国道32号線を走って行きますと、国道192号線に入り、池田大橋を渡り吉野川を渡河して東へと進みます。すると、高校野球の名門校の池田高校の前を通り、高知自動車道の井川池田ICに入って帰路に着くことができます。
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