年々、自動車の内燃機関(エンジン)から排出されるガス内の有害物資の規制ともなる「排ガス規制」が厳しくなり、いわゆる空冷エンジンと言われます、走行風などで高熱になるエンジンを冷やすシンプルな構造のエンジンはその特性から排ガス規制のクリアが難しくなり、どんどんモデルが減少しています。また、シンプルな構造で当初はコスト的にも優れていたのが、いろいろと特別な装置を付けて排ガス規制対策をしてきたことによりラジエターという装置を持つ水冷モデルよりも逆にコストがかかるようになってしまいました。そして、今回、とうとう国内唯一のover1000ccの空冷モデルでもありましたHondaのCB1100シリーズが、国内販売向けの生産を終了いたします。
空冷の魅力と言いますと、やはり走行風などによりエンジンをより冷やしやすくするために付いたエンジンのフィンや、水冷エンジンのようにエンジンの前にラジエターという装置が付いていないことから(風がエンジンに当たりやすくするため)車両の前からエンジンやマフラーの付け根のエギゾーストパイプの造形美が綺麗に見えるという、造形美やテイストがあります。昔のバイクは水冷装置のラジエターがコスト高だったこともありほとんどが空冷でしたので昔ながらの雰囲気を味わえるレトロ感も醸し出しています。そして、エンジンを止めて熱くなっていたフィンが徐々に冷えていきチンチンとなる音が、自分の心も冷却していってくれてる感じがとても心地よくて…
さ、さて、今後は、国内の排ガス規制はもちろん、ビッグバイクの主戦販売マーケットでもありますヨーロッパの排ガス規制(現在はユーロ5)がより厳しくなっていくことから、新たな空冷のビッグバイクは登場し辛くなると思いますし、もし発売されるならプレミアム感が付いたプライスの高いモデルになってくるのかもしれません。ということで、現在(2021年10月15日現在)買える空冷ビッグバイク(401cc以上)ですが、国産車でいいますと、カワサキのMEGURO K3やW800があります。今年発売されたMEGURO K3は、まさに前出したレトロの雰囲気を重視したプレミアムモデルで、空冷4ストローク並列2気筒/SOHC 4バルブ773㎤のエンジンを搭載して、価格は1,276,000円になります。
また、同型のエンジンを積んだW800は、シンプルなSTREETモデルやビキニカウルのついたCAFEがあり、価格は1,012,000円~になります。
海外モデルに目を向けますと、空油冷や、空水冷などのモデルがありますが、空冷のみのモデルになりますと、スポーツモデルで一番ラインナップが多いのはドゥカティのスクランブラーシリーズになります。L型2気筒空冷デスモドロミック エンジンを積むスクランブラーシリーズの最新モデルSCRAMBLER 1100TRIBUTE PROは1,609,000円になりますが、 スクランブラーシリーズは1,069,000円からラインナップされています(※399ccのSixty2を除く)。
また、モトグッツィの現ラインナップのV7シリーズ(1,188,000円~)、V9 Bobber Centenario(1,342,000円)、そして、アドベンチャーモデルのV85 TT(1,496,000円)は、全て4ストローク 空冷90°V 型 2 気筒 OHV 2バルブ 853cc搭載モデルとなります。
そして、先日Meteor350をご紹介致しました、世界最古のオートバイブランドでもありますロイヤルエンフィールドは、Meteor350を含めて現全ラインアップ6機種が全て空冷エンジンになります(625,000円~※411ccのHIMALAYN)。
そのほか、ハーレーダビッドソンやインディアンは、そのラインナップの大型クルーザーバイクのほとんどが空冷です。
とはいえ、ビッグバイクのスポーツバイクで…といいますと、かなり選択肢が狭くなっているのは事実です。国産の空冷スポーツバイク、そして空冷4気筒のバイクが欲しいと思っていらっしゃる方は、最後のチャンスかもしれませんね。
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