とにかく軽いバイク
同社のジクサー250にも搭載されている油冷式の単気筒SOHC4バルブ249cm3のエンジンを搭載。最高出力は2気筒のVストローム250の24PSに対して2PS多い26PSを発生します。昨今のスズキ車はホイールベースが長めですが、このSXも250cc単気筒ながら軸間距離は1,440mmと、2気筒Vストロームより15mm長く、同社のGSX-R1000より20mmも長いです。
特徴的な部分では台湾のタイヤメーカーであるMAXXISのMAXXPLOREというセミブロック調のタイヤを装着しています。
また大型スクリーンのほか、ナックルガードやアンダーガード、キャリアを装備し、ヘッドライト下のくちばしとともに、アドベンチャータイプのバイクらしい雰囲気を醸し出しています。
単気筒バイクということもあり、車体はスリムで、タンク容量は12Lになります。
インストルメントパネルはモノクロのデジタルディスプレイで、スピードメーターやタコメーター、ギヤポジションインジケーター、時計、燃料計など、必要な情報を確認することができます。
特に電子システムが付いているわけではないのでハンドル周りはシンプルです。
シートはセパレート式で、リアシートを外しますと中に書類が入れられるようなスペースがありますが、何かを入れようとしたらウェスぐらいで、雨具などは入れられません。ETC車載器は入ります。工具はリアシート下に付いていて、ツーリングロープなどを引っ掛けられる場所も付いています。
さて、跨ってみますと第一印象は、軽いが足つき性がイマイチだなあ、でした。シート高が835mmあり、身長182cmの私ですと大抵の250ccのバイクですとベタ足になるのですが、あまりサスが沈まないのかカカトが浮き、ベタ足にはなりませんでした。
車重が164kgと軽いこともあり、乗っていた軽さは感じられるのですが、やはり足つき性の部分で取り回しはしやすいとは言いづらい部分もあります。
さて、実際にエンジンをかけてみますとトトトトト…と単気筒らしい乾いた小気味よい音を奏でます。アクセルを回しますと、エンジンは高回転まで軽く回っていきます。単気筒250ccなのでトルク感は薄いですが、イメージしていた感じより軽く、グーンとエンジンが回ります。とはいえ、おおよそ9,000〜9,500回転くらいでエンジンの回転は頭打ちにはなります。最高出力は9,300回転で発生しますが、感覚的に力強く走れるのは最大トルクを発生させる7,300回転あたりという感じです。また、スズキイージースタートシステムにより始動性がとても良いのも特徴的でした。
さて、走りの方ですが、当初はセミブロックのタイヤと高いシート高で、オフロード寄りのアドベンチャーバイクかな…と思っていましたが、走ってみましたら、もちろん未舗装路も走りやすい感じではあるのですが、軽い車体とレスポンスの良いエンジンで、どちらかと言いますと、私が個人で所有していますヤマハのWR250Xに近いモタードバイク的な感じがいたしました。
アップハンドルのポジションも、モタード的に脇を広げて頭を少しかがめて乗ればまさにマッチングする感じで、そういう意味ではナックルガードもピッタリです。多分、タイヤは主力販売国のインドや東南アジアの道路状況を鑑みてセミブロック調になったのかなと予想され、個人的にはオンロードタイヤを装着してモタードバイクにしたいところです。
そういう意味では、軽い車体を活かして、未舗装路よりもモタード的なワインディングロードの走行が楽しいバイクでした。もちろんパワー的には山岳ワインディングの上りなどはきついでしょうが、平地のカーブなどは特に楽しく走ることができます。それこそ段差のあるセパレートシートが腰を押さえてくれるので体をホールドしやすいです。
もちろん、USBソケットやリアキャリアも付いていてツーリングも楽しめますが、個人的にはツーリングメインならトコトコグイグイと気負わず走れて足付きの良い同社のVストローム250の方が良いかなあ、とは思いました。
ロングホイールベースなので高速走行は楽かな、とは思ったのですが、車体が軽いのと重心が高いため、風に振られやすいのと、どちらかというと回して走るバイクのため、若干せわしさを感じる部分もあり、ロングツーリングならやはりVストローム250の方が楽かな、と思いました。
ですので、個人的にはこのバイクは、この単気筒エンジンを回して走るスポーツバイクだと思いました。とはいえ、もちろんツーリングや未舗装路も走れる汎用性もあり、まさに名前のSは「スポーツ」、そしてXは「クロスオーバー」でSXであるという感じです。
これだけの装備が付いていて569,800円と価格にも驚きですが、ツーリングに使用して燃費が約30km/Lというのにも驚きでした。できれば、あと3万円アップしても良いので、オンロードラジアルタイヤを装着して、車体のグラフィックもモタード系のクールなグラフィックデザインにすれば、このバイクのキャラクターが明確化するのにな…とも思いました。あと、ローダウン仕様もあるといいかも、ですね。
コメント