訪日外国人旅行者が訪れる夏の人気上昇エリアを分析

株式会社ナビタイムジャパンのNAVITIMEデータ分析チームは、訪日外国人観光客向けのナビゲーションアプリ『Japan Travel by NAVITIME』の利用状況から、2024年の夏に訪日外国人旅行者の滞在が増加している地域の分析結果を発表いたします。

訪日外国人旅行者の関心と需要の高まりを踏まえ、ナビタイムジャパンが提供する訪日外国人観光客向けナビゲーションアプリの利用状況から、定期的に分析を行っており、このたび、夏季に人気が上昇している市区町村を分析いたしました。

  • <分析内容>
    ・2023年6月~8月と2024年6月~8月を比較し、市区町村別の訪日外国人旅行者の滞在数が増加したエリアを分析
    ・2024年6月~8月の都道府県別の訪日外国人旅行者の滞在数が増加したエリアを分析

※本分析には、ナビタイムジャパンが提供する訪日外国人観光客向けナビゲーションアプリ(『Japan Travel by NAVITIME』)から同意を得て取得したインバウンドGPSデータと属性アンケートを用いています。
※「滞在」の定義は、30分以上同一1kmメッシュ内で測位が確認された状態です。

■分析結果

訪日外国人旅行者の夏季の人気上昇TOP10

 トップの北海道当別町は、2023年の滞在数から21.00倍の増加、続く福井県勝山市は20.00倍の増加、香川県宇多津町は8.33倍の増加となりました。4位以降はすべて沖縄県の市町村がランクインしており、沖縄県全体が夏の観光地として滞在数を伸ばしています。

訪日外国人滞在数増加率ランキング1位の北海道当別町、2位の福井県勝山市、3位の香川県宇多津町について、具体的な滞在エリアを分析しました。
 また、ランキング4位から10位が沖縄県であることを踏まえ、都道府県ごとの増加率にも着目し、上位3位の都道府県について、具体的な滞在エリアを分析しました。

1.市区町村別訪日外国人滞在者増加率ランキングTOP3

1位:北海道当別町(21.00倍増)

夏の訪日外国人滞在数増加率ランキングの1位は北海道の当別町でした。観光庁発表の宿泊旅行統計調査より北海道の外国人延べ宿泊者数の推移を確認すると、北海道では12~2月の冬に宿泊者数が最も多くなりますが、次いで7月に宿泊者が増加する傾向があります(※1)。
当別町での滞在エリアを確認すると、ロイズカカオ&チョコレートタウンでの滞在が多いことが確認できました。

※1 観光庁「宿泊旅行統計調査」:https://www.mlit.go.jp/kankocho/tokei_hakusyo/shukuhakutokei.html

ロイズカカオ&チョコレートタウンは、体験型施設として2023年8月にグランドオープンしたスポットです。ロイズカカオ&チョコレートタウンによると「開業1周年にあわせて入場料金半額などの記念キャンペーンを、7月に1ヶ月間実施したことが影響した可能性がある」とのことでした。JR札幌駅から約30分で施設最寄りの「ロイズタウン駅」まで到着可能なアクセスの良さも、滞在数を伸ばした要因ではないかと考えられます。

写真:ロイズカカオ&チョコレートタウン(北海道当別町)

2位:福井県勝山市(20.00倍増)

勝山市での滞在エリアを確認すると、福井県立恐竜博物館や、越前大仏で有名な大師山清大寺での滞在が多いことが確認できました。

桜の時期から引き続き、世界三大恐竜博物館として有名な福井県立恐竜博物館および、日本一の大きさと言われている越前大仏が安置されている大師山清大寺に、外国人旅行者が訪れているようです。また、2024年3月に北陸新幹線が延伸されたことで交通の便がより良くなったことも、増加の一因となっていると推察されます。

写真:大師山清大寺・越前大仏(福井県勝山市)

3位:香川県宇多津町(8.33倍増)

宇多津町での滞在エリアを確認すると、道の駅恋人の聖地うたづ臨海公園周辺での滞在が多いことが確認できました。

道の駅恋人の聖地うたづ臨海公園の周辺には、体験型の復元塩田や四国水族館などの施設のほか、高さが158mある展望塔のゴールドタワーが隣接しています。四国水族館によると「近隣空港にて台湾や韓国の直行便の利用が好調という背景もあり、台湾をはじめとしたアジア圏からの来訪が増えている」とのこと。ナビタイムジャパンのデータからも同様の傾向が確認できました。また、ゴールドタワーによると「天空のアクアリウムは、多数の金魚やカクレクマノミなどの海水魚が空を泳ぐようなレイアウトになっており、瀬戸大橋を背景に水槽を撮影できることが外国人の方にも好評」とのことです。

写真:ゴールドタワー天空のアクアリウム ソラキン(香川県宇多津町)

2.都道府県別訪日外国人滞在者増加率ランキングTOP3

都道府県ごとの増加率からデータを集計し、上位3位の都道府県について、具体的な滞在エリアを分析しました。

1位:福井県(2.80倍増)

福井県での滞在エリアを確認すると、敦賀市・福井市・坂井市・勝山市での滞在が特に多いことが確認できました。

2024年6月~8月の福井県内の滞在状況

敦賀市と福井市は新幹線の停車駅である敦賀駅、福井駅に滞在が見られ、観光の拠点となっていることが伺えます。坂井市の東尋坊、1.の分析(市区町村別訪日外国人滞在者増加率ランキング)で2位にランクインした勝山市の県立恐竜博物館や大師山清大寺(越前大仏)の滞在が確認できました。

2位:沖縄県(2.27倍増)

沖縄県での滞在エリアを確認すると、那覇市・北谷町・恩納村・本部町・名護市・北中城村・豊見城市・石垣市での滞在が特に多いことが確認できました。

2024年6月~8月の沖縄県内の滞在状況

沖縄県の発表によると、2024年8月の入域観光客数概況の外国客数は対前年比で140.1%増加(※2)しています。那覇市の国際通り、北谷町の美浜アメリカンビレッジ、本部町の沖縄美ら海水族館、名護市のネオパークオキナワ、北中城村のイオンモール沖縄ライカム、豊見城市のかりゆし水族館といった観光スポットに加えて、各地のビーチも滞在数を伸ばしています。特に名護市・本部町・豊見城市は、1.の分析(市区町村別訪日外国人滞在者増加率ランキング)のTOP10にもランクインするなど、各エリアの滞在数が増えていることが伺えます。

※2 沖縄県「令和6年(2024)8月 入域観光客概況(2024年9月25日)」:https://www.pref.okinawa.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/026/300/r6-8gaikyou-sokuhou.pdf

3位:佐賀県(1.52倍増)

佐賀県の滞在エリアを分析すると、嬉野市・武雄市・唐津市・佐賀市・鳥栖市での滞在が特に多いことが確認できました。

2024年6月~8月の佐賀県内の滞在状況

佐賀県は全域で訪日外国人観光客数が増加傾向にあり、佐賀市の佐賀城、武雄市の武雄神社、唐津市の唐津城のように、日本の文化に触れられるスポットのほか、武雄市や嬉野市の温泉地、鳥栖市の鳥栖プレミアムアウトレットに滞在が見られました。
なお、特に滞在数の多いエリアの一つである武雄市では、夏のライトアップイベントとして実施している「武雄のあかりめぐり」の影響も考えられます。武雄神社ではイベントの対象スポットとして8月3日~10月14日までの土日祝とお盆期間にライトアップを行っており、武雄神社によると「連日100人以上の外国人の方が来ており、特に台湾や韓国からの訪問が多いように思う。ライトアップイベントとも重なるお盆の時期は特に増えている」とありました。

写真:武雄神社(佐賀県武雄市)

 ナビタイムジャパンのNAVITIMEデータ分析チームでは、訪日外国人観光客の動態を明らかにする行動データ分析を通じて、日本全国の各地域で様々な風習や伝統を持つ日本の魅力の発掘に貢献できればと考えています。

■訪日外国人滞在数増加率ランキング

訪日外国人観光客向けナビゲーションサービス『Japan Travel by NAVITIME』2023年6月~8月と2024年6月~8月を比較

・訪日外国人滞在数市区町村別増加率ランキング

1北海道当別町21.00倍
2福井県勝山市20.00
3香川県宇多津町8.33
4沖縄県浦添市4.15
5沖縄県名護市3.59
6沖縄県今帰仁村3.50
7沖縄県渡嘉敷村3.27
8沖縄県本部町3.18
9沖縄県宮古島市3.17
10沖縄県豊見城市3.15

・訪日外国人滞在数都道府県別増加率ランキング

1福井県2.80倍
2沖縄県2.27
3佐賀県1.52
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