■渡良瀬遊水地&飛び地を巡る(スズキGSR250)

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こ、ここは、北海道!?

釧路湿原!? えっ、ポピラ(?)並木も!?

コッタロ街道!? ここは、憧れの道東かな!?

いいえ、東京の日本橋から約90kmのところなのです。

北海道に行ってみたい…

と考えているライダーの方、LCCとレンタルバイクを利用すれば、1泊、または2泊で、頑張れば約5~6万円くらいで北海道ツーリングを楽しめます。

しかし、休みも取れないし、そもそもそんなお金ないよ、という方々向けに、北海道っぽいツーリングが出来る場所があるんです。しかも東京の日本橋から約90kmのところに…。高速を使って都心から約1時間半、片道約2,000円。懐にも優しく、余裕の日帰り圏内です。

遠くに見える地平線、見渡す限りの草原、所々に点在する樹々。そんな景色が見られて、どこまでも続いていくかのような一本道を走れる場所があるんです。

なんと、栃木県に…。

渡良瀬遊水地

と、実際には栃木県と群馬県、茨城県、埼玉県の4県に跨る渡良瀬遊水地です。

人工的な遊水地としては、日本一の面積を有します。治水のために84年もの歳月を費やして作られましたが、その歴史的背景は深く、廃村の跡地などもあり、訪ねる前に同遊水地について調べてから行くと、より造詣が深まるツーリングになること請け合いの場所です。

第1調整池にある展望台からの景色は必見。開陽台?っぽいです。

ちなみに、遊水地はあくまでも洪水対策に設けられた場所のため、降雨直後などは道が水溜まりだらけで走行は危険ですし、川が氾濫したらこの場所は水没するように作られていますので、そのあたりのことを念頭に好天時でも走行には注意が必要です。

まあ、この地の全てが水没すると思いながらその中を走っていると、灌漑だけに感慨深いものを感じます…。

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渡良瀬遊水地は、谷中池、第1調整池、第2調整池、第3調整池の4つのエリアで構成されています。残念ながら谷中池内を横断している道は車両進入禁止ですが、他の3つのエリアは中を走れます。ただし、”車両進入禁止”と”車両進入注意”の看板があり、もちろん前者は走行不可。後者の道を走るときも自己責任で、という説明文が書かれています。

個人的には、北エントランスから入って、「展望台→谷中橋→第2排水門→第2調整池を横断する道(ダートあり)→堤防道→石川橋→東赤麻橋→西赤麻橋→北エントランス」がお勧めのルートです。撮影映えする場所が多いため、撮影好きの方々が画像や撮影ポイントをHPにアップしていて、とても参考になります。

7km走って、8つの県境を跨ぐ

ちなみに、茨城県古河市の三国橋を渡り、国道354号線経由で県道9号線で渡良瀬遊水地沿いを走ると、なんと、7kmの間に8つもの県境を跨ぐことになります。所要時間にしても10分足らず。意外と交通量は多いのですが、面白お勧めの快走ルートです。

上:茨城県 古河市、下:埼玉県:加須市
上:栃木県 栃木市、下:群馬県:板倉市
むこうの県境の看板が見えます。なんと、最短のところは、県境と県境の間が60mしかないです。

”飛び地”に秘められた謎

「飛び地」とは、同じ行政地域でありながらも飛び離れてある地域のことです。

通常、県境や町境は、川なら真ん中、山なら尾根沿いにその境界線が引かれていることが多いのですが、都道府県や市町村単位で見てみると、江戸時代等の藩の名残りや平成の市町村の大合併などで出来た飛び地が各所にあります。特に和歌山県からなぜか飛び離れたところにある北山村は有名で、ちょっと大きめな日本地図を見れば分かるくらいの大きさです。

また、意外なところでは、鹿児島県の桜島が陸では繋がっていない対岸の鹿児島市であったり、三つの市町村で輪切りになっている関西空港や、半島の先だけが飛び地になっている北海道の野付半島、また、秘湯の栃木県の三斗温泉は那須塩原市の飛び地ですし、なんと、東京都稲城市の読売ジャイアンツの屋内練習場も飛び地に建っていて、ロッカールームは東京都稲城市、一部の窓は神奈川県川崎市というややこしさです。

ややこしいから周囲の市町村と合併しちゃえばいいのに、と無責任に思うのですが、歴史的背景や住民感情などがあって、なかなかうまくはいかないようです。

ちなみに、上記画像のバイクより奥側が埼玉県本庄市の飛び地。本来は右の利根川の向う岸が埼玉県本庄市。なので、バイクの手前側とバイクが止まっている道の奥の方は群馬県の伊勢崎市になります。
利根川を挟んで群馬県側(太田市)にある埼玉県熊谷市の飛び地の妻沼小島地区。小中学校もある比較的大きな飛び地。太田市側への合併がなぜか否決されたそうです。
利根川を挟んで埼玉県側(深谷市)にある栃木県伊勢崎市の飛び地の境島村地区。分断された境島村を結ぶ無料の島村渡船あり。約200年もの歴史があります。
なんと利根川の対岸にある伊勢崎市の飛び地の中に、また深谷市の飛び地があるという、二重飛び地の深谷市の境島村地区。
利根川を挟んで群馬県側(伊勢崎市)にある埼玉県本庄市の飛び地の上仁手地区。元仁手村が利根川の氾濫により、対岸の下仁手と分断。地区内の掲示板は、もちろん本庄市の内容。地区内の諏訪神社に飛び地となった由来が掲示されています。

さて、今回訪ねましたのは、利根川流域の飛び地群。厳密には間の川で離れているだけなので、ある意味、広義的な飛び地にはなりますが、東京都、埼玉県、千葉県、茨城県、栃木県、群馬県などの都県境にもなっている利根川は、全ての場所が単純に川の中枢部が県の境になっている訳ではなく、何故かアバウトにその境界線が引かれているところもあり、道も繋がっていない対岸に同じ県があるという場所が多々存在します。

特に千葉県と茨城県との県境になっている水郷の香取市周辺や、埼玉県と群馬県の県境になっている埼玉県県北地域は、利根川の中心(県境)をペンでなぞっていたら寝不足だったのでいろいろなところがはみでちゃった、なんていうぐらいのレベルで飛び地が存在します。たぶん、これは時代によって川の流れ方が変わったせいなのかもしれません。でもそれそれの地域にその歴史的背景や理由があって、それを辿ると、その土地柄が分かって楽しいです。

ひとつの町全体が、利根川の対岸の埼玉県側にある茨城県の五霞町。ただし、茨城県側とは唯一、新利根川橋のみで繋がっていて、純然たる飛び地という訳ではないですが、かなり稀有な場所です。
ローズポークまん~ブランド豚のローズポークを使用した肉まん。ジューシーで美味しいです。「道の駅ごか」にて。200円
群馬県藤岡市と埼玉県神川町を分かつ、蛇行の神流川に対して、県境はほぼ直線で引かれているというアバウトさ、です。
対岸の群馬県側にある埼玉県の公園。
◇飛び地いろいろ

・埼玉県新座市内の住宅地に、なぜか東京都練馬区の飛び地があります。しかも、その部分は民家数件のみ。バイクで訪ねてみましたが普通の住宅地でした。練馬区(東京都)の家の両隣が実は新座市(埼玉県)という不思議なゾーンでした。

・やはり、利根川流域にある茨城県取手市にも川向うの千葉県側に飛び地があります。そこには、以前は通学の足として使われていた渡船が、今なお活躍中です。

・市町村レベルになると飛び地が多いのは大阪と北海道。大阪は昔の権利関係などが入り交ざって細かい飛び地が多いですが、平成の合併が要因として多い北海道の飛び地の面積はかなり大きいです

「ネタ探し」の旅

飛び地は、当たり前ですが、実は普通の場所でした。

普通に人が住んでいますし、特に囲われた場所でもなく、ただ、行政が違う、ということだけの場所でした。しかし、その飛び地になった所以を知ると、歴史の綾の中を走っているみたいでちょっと不思議な感じがしますし、飛び地の近くには神社仏閣や歴史的な建造物も多く、意外と観光も楽しめるツーリングが出来ます。

下久保ダムに向かう国道462号線沿いにある道の駅上州おにし。何故か駐車場に隣接して昔の木造の校舎跡があるほか、石器時代の遺跡と住居跡が無料で見学できます。3D映画も上映。お勧めの立ち寄りスポットです。
下久保ダム
下久保ダム~1968年に神流川に建設された大型ダム。L字型の特徴的な形をしています。ダムの上の堤体をバイクで走れます。
ダムの直下流にある三波石峡。
桜山公園~珍しい冬桜が7000本もあり、11月上旬から12月上旬にかけて、なんと桜と紅葉のコラボレーションが見られるほか、夜にはライトアップも行われます。収穫されたミカンやリンゴの販売もあります。駐車料金:100円

ツーリングの楽しみって”走る”ってことだと思います。ただ、目的(地)がないとルートが(走る道)が決まらない。そんな中、例えば”橋”とか”廃墟”とか「ネタ」を目的にするツーリングは、目的(地)があくまで”走り”の補足的な意味合いでもあるバイクならではの、そして、機動力に長けるバイクだからこそ出来やすい、車の旅では出来づらい楽しみ方のひとつだと思います。

是非、自身の好きなネタを探しに、バイクで出かけられてみてはいかがだでしょうか。

旧武家屋敷(茨城県古河市)
群馬県一の大イチョウ(群馬県太田市)
世良田東照宮(群馬県太田市)
関宿城跡(千葉県野田市)~北条氏康に、一国と同じと評されたほどの(場所に立つ)城。この城の裏手の公園は、隣県の茨城県の飛び地になります。
某テレビ番組で紹介されて一躍有名になった群馬県大泉町にある、ずらーっと並ぶ一時停止の標識群。その数なんと13本。それを含めて、たぶんこのエリアだけで一時停止の標識は数十本はあると思います。
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