太陽が沈み始め一日が終わりに近づく中、無性にバイクに乗りたくなった。自分の周りの空気がまったりしていて、何をしてもモアっとしたものが身体にまとわりついている感じが鬱陶しく、それを払拭したかった。
暗闇の中に浮かぶ光のアート
ヘルメットとグローブ 、そして財布だけを持ってバイクの鍵を手にした。携帯は置いていく。
外に出てバイクカバーを取ると青白のトライアンフボンネビルT120が現れた。
バイクに乗る高揚感からか、モアっとした感じが少しずつ薄くなってくる。
鍵をイグニッションに挿してキーをONにすると、二連のアナログメーターが白く光った。バイクに跨りスイッチを押してエンジンをかける。ドコドコドコ…と、1197ccの2気筒エンジンが低い鼓動を響かせ始めた。1気筒600ccものシリンダーの中でピストンが上下に動き、その鼓動が身体中に響き渡る。
僕はフーッと息を吐き出してから、アクセルのスロットルを開けた。
ドドドド…、とタイヤが小気味よく大地を蹴ってボンネビルが進み始めた。
2速、3速とギアを上げ、スピードを上げていく。オレンジ色に包まれた街の中は、倦怠感、無気力感、怠惰感…そんなモヤモヤとした空気が漂っている。
料金所のゲートを通り高速へと入る。加速しながらギアを4速、5速、6速へと上げていくと、身体にまとわりついたモアっとした空気がどんどん剥がれていき、後方の彼方へと消えていった。
やがて陽が落ちて、徐々にあたりが闇に支配されていった。
暗くなると無駄なものが目の前から消えていく。見えるのは自分とボンネビル、そしてライトで照らされた道だけ。まるでダンスをするかのようにボンネビルと踊り続ける。
ドドドド…何も考えずにボンネビルのビートをを身体に感じながら走る。僕はこの時間が好きだ。生かされているのではなく生きているという感じが得られる。五感が研ぎ澄まされ、身体が緊張に包まれていく。生温い空気は既に身体の回りからなくなっていた。
やがて、高速から工場地帯の夜景が見えてきた。さながら暗闇の中に浮かぶ光のアートのようで、息を飲むほどに綺麗な景色だ。僕とボンネビルは、まるで灯りに向かって翔んでいく夜の蛾のように、その光の中へと吸い込まれていった…
川崎・横浜 夜景スポット
■川崎工場地帯の夜景
②↑人気の高い川崎市川崎区千鳥町の貨物ヤード前の工場夜景
③↑川崎マリエンからの景色
④↑水江運河
⑤↑扇橋
⑥↑浮島町JX日鉱日石前
⑦↑川崎市浮島町の工場夜景。日本ユニカー前交差点から入った際の夜景はまるで未来都市のようだ。
■横浜の夜景
①↑みなとみらいの夜景がとても綺麗に見える万国橋。
②↑横浜ワールドポーターズより
③↑日本丸メモリアルパーク
④↑横浜マリンタワーより
⑤↑赤レンガ倉庫
⑥↑大桟橋
コメント